複素数の極形式

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1.複素数の極形式

複素数の掛け算、割り算の前に、複素数の極形式を導入しておきます。複素数は実軸と虚軸に分けて、平面上の点として考えることができるのでした。実軸上の原点からの大きさと虚軸上の原点からの大きさの組で表現しているのですが、この二つの値の代わりに複素数の絶対値(大きさ:原点とその複素数の点を結んだ距離)と、実軸との角度で表現するのが、複素数の極形式です。図の方がわかりやすいので、図1で説明します。

図1(a)のように複素数A=1+iのとき、Aの絶対値は√2で、実軸と線分OAとの角度θはπ/4です。このとき半径r=√2の円を描くときの角度θがπ/4と考えます。この二つの値の組が決まると、この組を表現する複素数平面上の1点が決まります。(x, y)の組と(r, θ)の組、どちらも同じ一つの複素数を表現しています。

極形式の場合の複素数の一般的記述は、B=r(cosθ+isinθ)として書きます。図1(b)において、三角比の知識を使えば、x座標はrcosθ、y座標はrsinθであることがわかります。このxとyの値をB=x+yiに代入して整理すると、B=rcosθ+(rsinθ)i=r(cosθ+isinθ)となります。sinθiだとsinの角度がθiということになってしまうので、sinθ×iはisinθと書く決まりになっています。A=1+iを極形式で書くと、A=√2(cos(π/4)+isin(π/4))となります。

2.極形式と平面形式の間の変換

一つの複素数が両方の表現を持つので、両者の表現の間を自由に行き来できるようにしておく必要があります。極形式を平面形式に直す場合は、図1(b)のときのように、三角関数の知識を使って図形的に考えると楽です。具体例C=2(cos(π/3)+isin(π/3))を変換してみます。複素数Cは図2(a)のようになるので下のように変形できます。

\begin{align} C=2(\cos\frac{\pi}{3}+i\sin\frac{\pi}{3})=2(\frac{1}{2}+\frac{\sqrt{3}}{2}i)\\ =1+\sqrt{3}i\\ \end{align}

極形式に直すときは少しだけ面倒で、まず複素数の絶対値を求め、絶対値で括り出した後、cosとsinに変換します。複素数C=1+√3iをさっきとは逆に、極形式に直してみましょう(図2(b))。

\begin{align} C=1+\sqrt{3}iより\\ r=\sqrt{1^2+\sqrt{3}^2}=\sqrt{4}=2\\ よってC=2(\frac{1}{2}+\frac{\sqrt{3}}{2}i)\\ =2(\cos\frac{\pi}{3}+i\sin\frac{\pi}{3}) \end{align}

最後のcosとsinに変換するところが少し難しいですが、θが同じ値になることから見つけられます。cosθ=1/2となるθはπ/3か5π/3で、sinθ=√3/2となるθはπ/3か2π/3です。両方に共通するのはπ/3より、極形式の角度θ=π/3となります。図2(b)のように1:2:√3のよく知る直角三角形の形になっているので、図形的に見つけてもよいです。それから、本当は何回転もできるのでθ=π/3+2nπとなるのですが、一般にθは0≦θ<2πで考えるので、θ=π/3だけでよいです。

角度θがよく知られた値でないとき、たとえばD=3+4iの極形式は、θの値を明示できないので、E=5(cosα+isinα)(ただしαはtanα=4/3を満たす)のように書きます。

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言語の獲得過程

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1.発達心理学での前提を知ること

このページでは、言語と呼ばれるもろもろの事項を子どもがどのようにして獲得していくのか、発達心理学でどのように考えられているかを示そうと思います。現代の心理学なので、当然、実験を行いその結果をもとに考え方を提示しているのですが、実際の実験の紹介やその解釈における疑問点などは次ページに紹介しようと思います。

どの学術分野でも、その分野一般に受け入れられている前提があります。実験のほとんどは、その前提をもとに立てられた仮説を検証するために行われるものです。分野に関係なく、各分野で広く受け入れられている基底的思想を読み取ることが、その学術分野を知る、学ぶことの重要課題です。受け入れられている前提が正しい確証はありませんが、いったんそのことの是非は置いておきます。このページでは発達心理学に共通して見られる(と自分が思っている)考え方を提示することを、最終の目標とすることにします。

2.言葉の獲得を調べるにあたっての原則:分割できそうなものは分割してしまう

心理学は社会科学と呼ばれる分野の一つでもあって、自然科学などと方法を共有する部分が大きいです。科学においては、分割できるものは分割して後で足し合わせる、という方法がよくとられます。理工系では、こういう方法が適用できる対象の性質を「線形性」と呼ぶことが多いです。

言語の獲得に関しては、獲得される言語の特性として、音韻、身振り、言葉(語彙)、文法等に分割がされているようです。分割の仕方は他にもあるでしょうが、研究のしやすさなどの観点から、自然とその分割の仕方に収束していたりします。このあたりの事情はどの分野でも変わらないでしょう。ちなみに、分節するごとに意味が変質し足し合わせにより元に戻らないような場合(多様体、非線形性)はどうするのか、という問題がありますが、いったん置いておきます。

3.音韻、語彙の獲得

子どもは通常2歳から3歳までには、言葉の意味を(自分なりに)理解して使用を開始します。我々が言葉と呼んでいるのはろう者などを除いて連続的な音のつながりです。各言語体系ごとに使用する音に違いがあるので、言葉の獲得の際には音韻の違いも獲得しているはずです。そして音韻の獲得と共に、音節数が数個の短い言葉(文?)が使用されます。まず音韻、次に言葉の獲得に関する考え方を紹介します。

3.1 音韻の獲得(参照文献1、第2章)

子どもが言語の獲得で耳にしているのは連続の音声です。大人との会話を繰り返すうちに、自然と連続した音声に区切り(音節)を入れて認識するようになる、と推測できます。音節の獲得は、0歳児を対象とする研究から、プロソディー(prosody, 韻律)と呼ばれる、音の高低や速度、長さなどの情報を手がかりとして行われていると考えられています。それに加え、各音節間でどの音韻が連続する確率が高いかといった、統計情報も同時に利用していると考えられます。

音韻の聞き取りはかなり早い段階から始まり、母音と子音の聞きわけは、生後1ヵ月から3ヵ月の間には成立しているようです。獲得の手がかりとして、音響的な特性を利用していると考えられますが、他にも養育者による強調した語りかけ方など、社会的な関わり合いが作用していることも、実験結果から示唆されています。

3.2 語彙の獲得(参照文献1、第4章)

子どもはことばを発する前からある程度ことばを理解していると思われる行動をとります。ここでは子どもが言葉を発することに着目します。

子どもが発する初期の言葉の特徴として、ヒト、動物、食べ物、乗り物、からだの一部、挨拶などの言葉が多いことが挙げられます。といっても、子どもの言葉が大人の言葉と一致しているわけではなくて、大人よりも適用範囲が広いという特徴が見られます。たとえば「ワンワン」でイヌだけでなくウマ、ウシ、ネコなどのあらゆる四足動物を表現していたりします。言葉の適用範囲は、その子どもごとに、何かしらの規則性によって区切られているようです。

子どもが獲得する言葉は抽象的な言葉より事物名称が多いですが、事物名称といっても対象はいろいろな性質を持つので、実際にその言葉が何を表しているか学ぶのは簡単なことではありません。言葉を獲得し始めたばかりの子どもが仮説検証などの知的操作により言葉を獲得しているとは思えません。そこで何かしらの制約を用いて語の意味を推測している、という考え方が生じてきます。そういった考え方の一つに、「事物全体制約」、「カテゴリー制約」、「相互排他性」の三つの制約があります。事物に言葉を与えられたときに、それはまずその事物全体を指す言葉で、よく似たもの全般がそこに含まれ、一つの事物には一つの名前がつく、という制約を自然と利用しているというものです。しかしこういった制約を増やしていっても、まだ事物名称の獲得には不十分な情報しか与えられていません。

しかし不十分な情報しか与えられないにもかかわらず語彙は獲得されていきます。実際には明示的な名付け行為はそれほど行われておらず、さまざまの大人の行動を統制している大人の「意図」を読みとることが重要だと考えられます。実験結果から、わずか2歳になったばかりの子どもでも、大人が嬉しげに興奮した様子だったり、反対に悲しげでがっかりした様子など、バラエティーに富んだ手がかりを使いこなして言葉を獲得していることが示唆されています。

3.3 指さし・身振りの表出(参照文献1、第3章)

言葉の獲得に際して、音韻や語彙の使用と並行して現れるものに身振りがあります。子どもが言葉を獲得する際に、何かしらの役割を担っている可能性があります。

観察結果により、子どもは言葉を使う前から、指さしを使ってコミュニケーションを始めると考えられています。そして言葉を使用しはじめた後も、指さしや身振りは語彙の不足を補うものとして使用され続けます。一語文を発話する段階では、指さしがその言葉と組み合わせて使われることが多くなります。その後、二語発話が現れるようになると、子どもの身振りは言葉と独立していき、成人の身振りに近いものに変わっていきます。

4.発達心理学に共通して見られる(と思われる)考え方

まず、前ページ「従来の心理学における言語獲得理論」を振りかえります。従来の言語獲得の考え方として、観念連合による考え方と普遍文法による考え方が、参照文献である『新・子どもたちの言語獲得』において批判されていることを示しました。これらの考え方に代わる著者たちの考え方が、第2章から第4章まで(このページの2.1節から2.3節まで)で、すでに提示されています。

音韻の獲得では、養育者による強調した語りかけ方など、社会的な関わり合いが作用していること(2.1節)、語彙の獲得では大人の様子から読み取った大人の意図を手がかりにしていること(2.2節)が示唆されていました。さらに指さしや身振りがコミュニケーションを補うものとして使われているのでした(2.3節)。前ページで示したように、人間は周りの世界へと注意を向け他者の意図を知ろうとする基盤的能力を生得的に持っていて、他者とのコミュニケーションを通した相互作用により、他者と共有される世界を受け容れる、というストーリーが見出せます。

もちろん心理学という分野なので、このストーリーの裏付けとなる実験結果が存在します(次ページで一部紹介する予定)。しかしどの分野でも、実験というものはある考え方を実証するために行うもので、実験結果から示唆される考え方の方が実験の前よりあるものです。先入観により、複数の可能性のうちの一部のみを対象に実験を行い、他の可能性を無意識に排除してしまう、そしてそのことを自然科学の手法を導入したがゆえに気づかない、という危険性がつきまといます。どの分野の入門書でも、この危険性を頭の片隅に置いて読まないといけないでしょう。

5.参照文献

参照文献1:『新・子どもたちの言語獲得』(小林晴美、佐々木正人編著、大修館書店) 書評と要約

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複素数平面

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1.一つの複素数を平面で表現する

数Ⅲで今後使用頻度が高くて、かつとっつきにくい分野は複素数平面でしょう。ベクトルや三角関数が利用されているので、この二分野が苦手だと苦労するかもしれません。逆に、これらの分野が利用されているので有用性が高いとも言えます。

複素数は数Ⅱで登場しています。二乗して-1になる数を新たに定義する必要があって、i2=-1を満たす数i(虚数単位)を導入した結果、実部と虚部を持つ複素数が定義されたのでした(25/07/19時点で未作成)。複素数は「a+bi」(aが実部でbが虚部)の形で、aとbiの二つの部分にわかれています。一つの複素数が融合不能な二つの部分をもつので、二つの軸を持つ平面で一つの複素数を表現しよう、というのが複素数平面の意味です。実数軸を横軸、虚数軸を縦軸にとって、a+biの実部の値aと虚部の値bを取り出して平面上の点として、一つの複素数を表します。たとえばA=3+4i、B=-2-2iの二つの複素数は図1のように、複素数平面上の点A、点Bとして表現されます。二つの軸方向の値、A=3+4iなら3と4を取り出してA(3, 4)と書けば平面ベクトルとして考えることもできます。

2.共役複素数と複素数の絶対値

ここで共役複素数と、複素数の絶対値(大きさ)の語を導入しておきます。共役複素数は元の複素数の虚部の値を正負逆にしたものです。A=3+4iの共役複素数はAバー=3-4iです。二次方程式の二つの虚数解は共役複素数の関係にあります。共役複素数は図2のようなx軸対称の関係となっています。

もう一つの絶対値は、その複素数の原点からの距離にあたります(図3)。

三平方の定理を使って、A=3+4iの絶対値|A|なら下のように計算できます。

\begin{align} A=3+4iのとき\\ |A|=\sqrt{3^2+4^2}=\sqrt{25}=5 \end{align}

3.複素数の足し算と引き算

ページの最後に複素数の足し算と引き算を示しておきます。複素数においても掛け算と割り算の方がはるかに難しいので、こちらは次ページで示します。複素数の足し算と引き算に関しては、ベクトルと同じように実軸と虚軸で別個計算すればよいです。複素数A=3+4i、C=2+iの足し算と引き算は下のように計算できます。

\begin{align} A=3+4i、C=2+i\\ A+C=(3+4i)+(2+i)\\ =(3+2)+(4+1)i\\ =5+5i\\ A-C=(3+4i)-(2+i)\\ =(3-2)+(4-1)i\\ =1+3i\\ \end{align}

A+C=D、A-C=Eとおくと、図4のようになります。点Dを見ると、OAとOCをもとに作られる平行四辺形の対角線になっていて、ベクトルの計算と同様の結果になっているのがわかります。

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現代民主主義の課題

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現代民主主義を単純には定義できないことを以前のページで書きました。しかし民主主義を理想に近づけるための課題ははっきりしています。

1.民主主義のおさらい

まずは民主主義のおさらいからいきましょう。古代ギリシアの民主主義では、市民が直接民会に参加し議論を交わして政策を決定しました。現代において議会に市民が直接関与することはできませんが、市民が議論を交わして合意形成の努力を行うことを、民主主義に必須な要素として取り出せます。他方、議会には参加できなくても、市民が自分たちの生活のための活動を共同して行うことは可能で、トクヴィルはそういったアメリカ市民社会の特性に民主主義の理念を見出したのでした。

現代の民主主義は代議制民主主義で、市民が選挙で投票を行う形で政治に参加します。議会で議論は交わすのですが、最終的には多数決で決めることも多いです。それが単純に悪いわけではないですが、多数派による専制の危険性を多分にはらみます。議会制民主主義がよいとするには前提があって、市民が今の生活を成り立たせたであろう「公共なるもの」にとって一番よいと思う選択肢を選ぶこと(共和政の考えに近い)が必要です。以上より、民主政と共和政のよい意味での融合が、理想の民主主義には必要と言えます。

2.現代民主主義の課題

民主主義の課題はざっと以下のようにまとめられます。

  1. 異なる考えの人たちの間でも議論を交わし、できるだけ合意形成の努力を行う制度を整えること。
  2. 市民が直接、公共の活動に参加し、その活動が政治と関連をもつような仕組みを整えること。
  3. 市民が「公共なるもの」という抽象概念に超越性を投射し、そのための選択をするという理念が共有されること。

上の三つのうち2番に関しては問題ないでしょう。すでに地方自治体では、住民が自主的に活動し、自治体との連携をとって活動を続けていること、または住民からの働きかけで自治体の施策を調整することが始まっているようです。逆に自治体から住民活動へ働きかける場合もあるでしょう。1に関してはそもそも議会が議論を交わして合意形成するための場なので、制度としてはあるわけです。問題はその機能不全が明らかになっていることで、議論を機能させるための理念が市民にも、その代表たる議員にも共有されていないために機能不全が起こっているのでしょう。結局、3の理念に関する事項が根源の問題としてあるといえます。

3.時事問題で考える

注:ここからは自分の「意見」が多分に含まれることを断っておきます。

これで課題ははっきりしましたが、理念を共有するという途方もない難題が現われてしまいました。この課題についてはいったん後回しにして、2025年7月の参議院選挙直前の状況を、民主主義の危機の視点から見てみましょう。

やはり参政党の「日本人ファースト」を考えるのがよいでしょう。日本という国で「日本人ファースト」でないとはとても考えられません(在日米軍は置いておきます)。「日本人ファースト」という言葉が一人歩きして、参政党の主張が見えなくなっています。参政党が非難される理由は、明らかに事実と異なることを事実として主張しているためです。そしてその主張の底に排外主義や(悪い意味での)ポピュリズムが透けて見えるからです。

参政党を擁護する必要はありませんが、参政党を支持する人を非難したり馬鹿にすることはしてはいけません。参政党を支持する人も非難する人も、解決すべきと考えていることはほとんど変わりはありません。今の日本の閉塞状況に対して、参政党を支持する人たちは、(広義の)外国資本による買収が原因と考え、非難する人たちは、日本内部に隠されていた弱者への不寛容により引き起こされたと考えています。異なっているのは、比較的確認とすり合わせが容易なはずの事実認識の方です。要因には自然科学や工学に対する不信が根底にあるかもしれません。しかしそうだとして、事実認識の共有を行うには対話や議論が必要であり、それを提供し事態の改善に結び付けるのが政治の役割と思われます。抽象的な理念の共有はできなくても、対話と議論の場を用意し、事実認識の共有を進めることは可能です。より実現可能、実行可能な施策から実施すればよいだけです。

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定積分を用いた面積の計算

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1.定積分を用いた面積の計算

前回の内容は定積分の計算が(ほぼ)面積の計算にあたることを示しました。実際に面積を計算するにはいくつかの注意点があります。定積分の式∫ab f(x)dxでf(x)の値が負のとき、f(x)dxは負の値になって、正の部分と打ち消したりして、定積分の計算結果が面積と異なってしまいます。そのため面積の計算の場合にはf(x)が正の範囲と負の範囲のどちらかになっているかで処理を変えないといけません。図1のような場合、f(x)、x軸、x=a、x=bで区切られた部分の面積(斜線部分の面積)は、途中のx=cのところで区切って、下の式となります。

\begin{align} \int_{a}^{c} f(x) dx ~- \int_{c}^{b} f(x) dx \end{align}

積分範囲がcからbまでのところではf(x)<0より、定積分の値は面積に-1をかけた値となっているので、さらに-1をかけて正にしてやればよいです。

2.二つの関数に囲まれた部分の面積

また関数f(x)とg(x)で囲まれた部分の面積は、f(x)-g(x)の値を積分した次の計算で求めることができます(図2)。

\begin{align} \int_{a}^{b} f(x) dx ~- \int_{a}^{b} g(x) dx = \int_{a}^{b} (f(x) – g(x)) dx \end{align}

代入して計算することの面倒くささを考えれば、f(x)-g(x)を先に計算しておいた方が計算が楽です。

それから上でf(x)が負のときの面積計算の注意点を述べましたが、f(x)とg(x)で囲まれた部分の面積は、正負ではなく上下関係で処理が変わってきます。f(x)とg(x)が共に負の場合について、図3を例に考えてみます。

図3のように、f(x)とg(x)に十分な大きさの定数kを与えると、f(x)+kとg(x)+k共に正の値をもちます。この新しい関数で囲まれた部分の面積は、もとのf(x)とg(x)に囲まれた部分の面積と変わらないので、こっちの方を計算してみます。すると下のように、適当に与えたkが打ち消して積分計算はもとの関数f(x)とg(x)の場合とまったく変わりません。

\begin{align} \int_{a}^{b} \{(f(x) + k) – (g(x) + k)\} dx = \int_{a}^{b} (f(x) – g(x)) dx \end{align}

こういったことから、二つの関数で囲まれた部分の面積は、正負ではなく上下関係で考えればよいことになります。たとえば図4のような場合は、積分範囲aからbまではf(x)が上でg(x)が下、bからcまではg(x)が上でf(x)が下なので、面積計算は下の式になります。

\begin{align} 図4におけるf(x)とg(x)に囲まれた部分の面積\\ \int_{a}^{b} (f(x) dx – g(x)) dx ~- \int_{b}^{c} (g(x) – f(x)) dx \end{align}

3.面積計算の具体例

具体例を一題解いてみます。問題は「y=f(x)=x2-4x-2とy=g(x)=-x2+6x-10で囲まれた部分の面積を求めよ。」です。f(x)が下に凸、g(x)が上に凸なので、図5のような概形になるはずです。

二次関数によって接するとか交点がないとかもあり得るんですが、ここでは二つの交点で交わっているとして考えます。そうするとf(x)とg(x)の交点のx座標を求めて、その積分範囲で{g(x)-f(x)}を定積分すれば面積が求まりそうです。問題を解くと下のようになります。

\begin{align} f(x)とg(x)の連立方程式を解いて交点のx座標を求める。\\ \begin{cases} y=x^2-4x-2 \cdots①\\ y=-x^2+6x-10 \cdots② \end{cases}\\ ①-②より0=2x^2-10x+8\\ x^2-5x+4=0\\ (x-1)(x-4)=0\\よってx=1,4\\ したがってf(x)とg(x)で囲まれた面積は\\ \int_1^4 (g(x)-f(x))dx=\int_1^4 \{(-x^2+6x-10)-(x^2-4x-2)\}dx\\ =\int_1^4 (-2x^2+10x+8)dx\\ =-2\int_1^4 (x^2-5x-4)dx\\ =-2[\frac{1}{3}x^3-\frac{5}{2}x^2-4x]_1^4\\ =-2\{(\frac{1}{3} \cdot 4^3-\frac{5}{2} \cdot 4^2-4^2)-(\frac{1}{3}-\frac{5}{2}-4)\}\\ =-2\{(-\frac{13}{6} \cdot 4^2)-(-\frac{37}{6})\}\\ =\frac{13 \cdot 4^2}{3}-\frac{37}{3}\\ =\frac{171}{3}=57 \end{align}

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