ベクトルの成分表示と単位ベクトル - 趣味で学問

ベクトルの成分表示と単位ベクトル

すでにベクトルの成分表示に言及してますが、もう少し補足説明を行っておきます。平面のベクトルを考えるとき、できるだけ簡単で考えやすいように、基準となる軸が直角になるように二つとります(本当は直角でなくてもよい)。x軸と平行で大きさ1のベクトルをe1ベクトル、y軸と平行で大きさ1のベクトルをe2ベクトルとおくと、この二つのベクトルの実数倍のベクトルの組み合わせで、一つの平面ベクトルを表現できます。具体例で見た方が早いでしょうから、図1(a)を見てください。

3e1ベクトルと4e2ベクトルの組み合わせで、aベクトルが表現できます。このベクトルを成分で表現するとaベクトル=(3, 4)です。e1ベクトルとe2ベクトルもそれぞれe1ベクトル=(1, 0)、e2ベクトル=(0,1)と成分表示できます。

\begin{align} 3\overrightarrow{e_1}+4\overrightarrow{e_2}=3(1, 0)+4(0, 1)\\ =(3×1+4×0, ~3×0+4×1)\\ =(3, 4)\\ \end{align}

となりaベクトルと一致します。このようにaベクトル=(3, 4)は3e1ベクトルと4e2ベクトルを足したものと考えることができます。各ベクトルの大きさは平面上の大きさで定義されていて、aベクトルの大きさは

\begin{align} \sqrt{3^2+4^2}=\sqrt{25}\\ =5 \end{align}

です。ベクトルの大きさは絶対値記号を使って表現することになっていて、aベクトルの大きさは下のように表現します。

\begin{align} \left|\overrightarrow{a}\right| \end{align}

また、大きさ1のベクトルを単位ベクトルと呼びます。aベクトルと同じ向きの単位ベクトルは、aベクトルをaベクトルの大きさで割ればよいので

\begin{align} \frac{\overrightarrow{a}}{\left|\overrightarrow{a}\right|} \end{align}

と表現できます。図1(a)のaベクトルの単位ベクトルは図1(b)のようになります。単位ベクトルはx成分とy成分がそれぞれ0から1の間に収まってくれるという特徴があって、工学分野などでよく利用されます。しかし高校数学ではあまり利用されなくて、とりあえずは知識として知っておけば大丈夫でしょう。

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むつきさっち

物理と数学が苦手な工学博士。 機械翻訳で博士を取ったので一応人工知能研究者。研究過程で蒐集した知識をまとめていきます。紹介するのはたぶんほとんど文系分野。 でも物理と数学も入門を書く予定。いつの日か。

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