主権者とは何だろう - 趣味で学問

主権者とは何だろう

日本に住んでいる人の多くは、なんとなくでありながらも民主主義の方が開発独裁なんかよりよい、と思っているんじゃないでしょうか。しかしながら、よいと思っているはずの民主主義が何かよくわからない、そんな人が大半だと思います。私もその一人で、とり立てて理由があるわけでもなしに「民主主義に関連する本でも読んでみるか」と手に取ったのがルソーの『社会契約論』です。民主主義の思想の基盤を提供した本だと言われているのは知っていましたが、当時の私の知識ではもうそれくらいしか知るところがありませんでした。

驚くことにこの本、さっくりと読めます。しかし肝心の「主権者」の概念がなんのことかよくわかりません。一人一人の市民がそれぞれの主権者ではなくて、社会契約を結んだ市民が総体として一つの主権者です。そしてこの抽象的概念である主権者の意志が「一般意志」です。一方、これに対して一人一人の意見を集めたものは「全体意志」です。我々はなんとかして「一般意志」の方を見つけ出さないといけないはずです。ところで今、我々にとっての民主主義は普通選挙制のことで、最終的には多数決で政策を決定しています。それってどう考えても、選択しているのは「全体意志」の方です。

どうも隠れた前提条件があるようで、「公共なるもの」にとってよりよい選択は何かを考えて投票すれば、多数決で選ばれるものが一般意志で選ばれるものだ、という考え方が根底にあるみたいです。公共のため、という考え方は「共和制」の考え方とのことで、だとすると民主主義(民主政)をわざわざ使わなくてもよいように思えます。我々は国民主権と当たり前のように言っていて、民主主義国を謳うからには、国民が主権者であるということを説明しないといけないはずです。困ったときのwikiだのみでwikiページを見たんですが、あまり納得のいくものではなかったです。

これから民主主義に関連するページをいくつか上げていこうと思います。専門外の私が書くのでもちろん参照する文献が必要で、宇野重規『民主主義とは何か』を主なテキストとして、できるだけ話のつながりがわかるようにまとめていく予定です。最終目標は「主権者」と「民主主義」に自分なりに納得のいく答えをみつけることです。こちらの目標達成は長い道のりになりそうです。

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むつきさっち

物理と数学が苦手な工学博士。 機械翻訳で博士を取ったので一応人工知能研究者。研究過程で蒐集した知識をまとめていきます。紹介するのはたぶんほとんど文系分野。 でも物理と数学も入門を書く予定。いつの日か。

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