三角形の合同の証明 - 趣味で学問

三角形の合同の証明

中二の図形の証明問題は、証明済みの命題を利用して解くことができます。命題は「AならばB」の形をしているので、その問題においてBを証明したいときは、その図形においてAであることを示せばよいです。

具体的な問題を解く前に、図形の証明によく利用される性質を二つだけ示しておきます。

  1. 対頂角は等しい(図1(a))
  2. 三角形の内角の和は180°である(図1(b))

数学では「公理」と推論規則を基に「命題」を証明し、それを「定理」と呼んで公理と同様に正しいものとして証明に利用します。基本的に公理はそのままでは扱いづらくて、証明には「定理」の方が使用される場合が多いです。上の二つの性質が公理なのか定理なのか私は知らないのですが、「正しいとしてよいもの」であるのは間違いないので、ここでは「正しい」として利用させてもらうことにします。上の二つ以外にも利用されるものはたくさんあるのですが、ひとまず、よく使われるこの二つだけ示しておきます。

中学の図形の証明問題において基本になるのは、二つの三角形の合同です。三角形には次の三つの性質が決まれば形が一つに決まるという性質がわかっています。

  • ①三辺の長さが決まっている。
  • ②一つの辺の長さとその両端の角の大きさが決まっている。
  • ③二つの辺の長さとその間の角の大きさが決まっている。

①の場合、例えば三辺の長さが3、4、5の三角形があるとすると、この条件を満たす三角形は図2のような三角形以外に書きようがありません。

そして図2の二つの三角形は、回転、ひっくり返し、平行移動を行うとぴったり重ね合わせることができます。このとき、この二つの三角形は「合同」であると言います。三角形の合同の証明はこの三つの性質を利用して行います。

これら三つの性質を利用した、二つの三角形が合同である条件は次の三つです。

  • ①’二つの三角形において、三組の辺の長さがそれぞれ等しい。
  • ②’二つの三角形において、一組の辺の長さが等しくその両端の角がそれぞれ等しい。
  • ③’二つの三角形において、二組の辺の長さがそれぞれ等しく、その間の角が等しい。

これらの表現だけから具体的な状態を想像するのは難しいので、図3の具体例を見てください。

図3に示した三つの場合のどれか一つが成立すれば二つの三角形は合同であり、二つの三角形が合同なときは必ずこの三つが成り立ちます。①’を例にとると、二つの三角形において「三組の辺の長さがそれぞれ等しいならば、その二つの三角形は合同である」という表現にできるので、これはAならばBの形をしています。だからB(二つの三角形は合同)であることを証明するには、A(三組の辺の長さがそれぞれ等しい)であることを示してやればよいことになります。

では一つ証明問題をやってみましょう。問題は「図4において、AB//DE、AC=CEのとき、二つの三角形ABCとEDCが合同であることを証明せよ」です。

①’から③’のうちでこの図形で使えるものを探します。たいてい証明に利用する条件が問題文に与えられていて、よっぽど意地の悪い問題でない限り、それらの条件を使用します。この問題では「AB//DE」と「AC=CE」の二つです。AB//DEという条件は三角形の証明に直接使用できないので、こちらの条件から三角形の証明に必要な、辺の長さや角度が等しいという条件を引き出す必要があります。前回、平行な二つの直線では同位角が等しい、または錯角が等しい、という平行線の性質を示しました。これを使うと今AB//DEより、角CABと角CEBは錯角だから、角CAB=角CEDです。また対頂角は等しいので、角ACB=角ECDです。これで三角形の証明に必要な条件のうち、②’に必要な項目が揃ったことに気づいたでしょうか。AC=CE、その両端の角である角CAB=角CEB、角ACB=ECDより、二つの三角形において一組の辺(ACとCE)とその両端の角(角CABと角CEBおよび角ACBと角ECD)がそれぞれ等しいので、三角形ABCとEDCは合同である、という結論に至ります。

証明にはある程度決まった表現を使用する必要があります。ただし押さえるべきところを押さえれば若干の表現の違いは許されます。決まった表現の例では、合同条件①’から③’において「それぞれ」という表現を抜くことは許されていません。「それぞれ」の語がないと、特定の組なのか複数の組がすべて等しいのか区別がつかないためです。こういった記述が最初からすらすらできる人とできない人がいるので、できる人は自分の使いやすい表現で構いませんし、できない人は基本例題を参考にして書き方を覚えてみてください。では上の証明問題の解答例を下に示します。

<証明>
三角形ABCと三角形EDCにおいて
条件よりAC=CE…①
対頂角は等しいので角ACB=角ECD…②
またAB//CDだから、平行線における錯角は等しいので
角CAB=角CED…③
①、②、③より、一組の辺とその両端の角がそれぞれ等しいので、三角形ABCと三角形EDCは合同である。

もう一つ、図形の証明の規則を書いておきます。合同の証明においては、対応する角の順番を揃えて書くことになっています。頂点Aと対応するのは頂点Eで、頂点Bと対応するのは頂点D、頂点Cと頂点Cは対応するので、三角形ABCの順番に対応させてAに対応するE、Bに対応するD、Cに対応するCの順にして、三角形ABC≡三角形EDCと書く必要があります(≡は合同を現わす記号)。

証明のための記述の規則や手順を覚えてしまえば、この後の平行四辺形の証明なども同じ方式で行うことができます。特殊な三角形や平行四辺形に関する性質や証明問題はネットにもたくさんあるので、気になる人はそちらをご参照ください。

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むつきさっち

物理と数学が苦手な工学博士。 機械翻訳で博士を取ったので一応人工知能研究者。研究過程で蒐集した知識をまとめていきます。紹介するのはたぶんほとんど文系分野。 でも物理と数学も入門を書く予定。いつの日か。

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