関数の概形 - 趣味で学問

関数の概形

微分を用いて関数の概形を描くことができます。微分係数の値の増減から、関数の山と谷にあたる部分を見つけることで行います。

具体例で説明したいと思います。今、概形を知りたい関数をy=f(x)=2x3-3x2-12x+5の三次関数とします。まず増減表と呼ばれる表を作ります。増減表は上からx、f'(x)、f(x)の順に、f'(x)の値をもとにして作ります。先に増減表を下に示しておきます。

x-12
f ‘ (x)+00+
f(x)12-15

この表を作るには、まずf(x)の導関数f'(x)を求め、f'(x)=0となるxの値を探します。

\begin{align} f'(x)=6x^2-6x-12\\ よってf'(x)=0のとき、f'(x)=6x^2-6x-12=6(x+1)(x-2)=0よりx=-1,2\\ \end{align}

f'(x)=6x2-6x-12は下に突の二次関数なので、図1のようなかたちになり、x<-1のとき正、x=-1のとき0、-1<x<2のとき負、x=2のとき0、2<xのとき正になります。この結果が増減表のf'(x)の行に書かれていることです。ここでf'(x)がこのように変化していくことが、もとの関数f(x)においてどのような意味を持つか考えてみます。

f'(x)はf(x)の接線の傾きにあたるので、xの増加に伴ってf'(x)が正から0になって負に変わるとき(図1のx=-1周辺に対応)、図2(a)のような状態に対応しています。


このようにf'(x)が正→0→負と変わるとき、f(x)はそのあたりで山になっています。一般に、関数における山の頂点を極大と呼び、そのときの関数の値を極大値と呼びます。今度は逆にf'(x)が負→0→正に変わるとき(図1のx=2周辺に対応)、図2(b)のようになり、f(x)は谷の形状になります。このときの谷の底を極小と呼び、そのときの関数の値を極小値と呼びます。以上のことが示しているのは、f'(x)=0となるxの前後のf'(x)の符号を調べることで、もとの関数が山になっているか谷になっているかがわかるということです。増減表の一番下、f(x)の行に書いてあるのはこのことです。したがって増減表の一番下が、ある意味で関数のグラフの形状を示してくれていると言えます。そして増減表をもとにしてグラフの概形を描くと、図3のようになります。

実際には二回微分や極限を取ったりしてもっと詳細な情報を得ないとこの形はわからないのですが、それらは数Ⅲの内容になるのでここでは省略します。

それからf'(x)の値が0になったとしても、その前後のf'(x)の値の符号が変わらない場合は極値とはならないので注意してください。たとえばy=x3のグラフは図4のようになって、x=0でf'(x)=0ですが、x=0の前後でf'(x)はどちらも正なので、x=0で極値にはなっていません。

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むつきさっち

物理と数学が苦手な工学博士。 機械翻訳で博士を取ったので一応人工知能研究者。研究過程で蒐集した知識をまとめていきます。紹介するのはたぶんほとんど文系分野。 でも物理と数学も入門を書く予定。いつの日か。

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