二つの一次関数の交点の座標 - 趣味で学問

二つの一次関数の交点の座標

前回、一次関数と二元一次方程式の関係を見たので、それを元に二つの一次関数の交点の座標の求め方を考えることができます。結論を先に言うと、直線と直線の交点の座標は、その二つの直線の式を連立方程式として解くことで求めることができます。y=-2x+5とy=x-4を例に考えます。まずグラフに示すと図1のようになります。

グラフから(x,y)=(3,-1)が交点であることがわかります。次にこの二つの関数を連立方程式として解いてみます。

\begin{align} \left\{ \begin{array}{l} y=-2x+5…(1) \\ y=x-4…(2) \end{array} \right. \end{align}

代入法でも加減法でもどちらでもよいですが、ここでは加減法を用いて(1)-(2)をしてみると0=-3x+9になるので、この一次方程式を解いてx=3、これを(2)に代入してy=3-4=-1になります。これでグラフから読み取った交点の座標と同じ値が得られました。直線と直線の交点の座標は連立方程式を解けばわかると覚えておけばよいのですが、ここではもうちょっとその理由を考えてみることにします。

その一次関数を満たすxとyの組をすべてグラフとして書き込んでみると直線になります。逆に直線上の点の座標はすべて元の一次関数を満たしています(代入して等式が成り立つということ)。図1を見返してみると、交点A(3,-1)は直線y=-2x+5とy=x-4のどちらの上にも乗っています。このことはy=-2x+5上の点なのでこの式を満たし、同時にy=x-4上の点なのでこの式も満たすことを示しています。ということは(1)と(2)の式を同時に満たすxとyを見つければ、それが交点の座標になっているということです。そしてこの(1)と(2)の式を同時に満たすxとyの組を見つける操作が、連立方程式を解くことでした。これが二つの直線の式の連立方程式を解いて、その交点の座標を見つけることができる理由です。一次関数を方程式として見るということができれば、その応用である交点の座標の求め方の方が理解は簡単かもしれません。

以上のことを踏まえて、今度は少し特殊な連立方程式についてグラフから考えてみます。例えば次の連立方程式

\begin{align} \left\{ \begin{array}{l} y=2x+1…(3) \\ y=2x-2…(4) \end{array} \right. \end{align}

の解を考えてみます。加減法で上の式から下の式を引くと0=+1になり矛盾した式になってしまいました。代入法を用いても矛盾した式しか出てきません。その理由はグラフで考えるとわかります。上の二つの式をグラフに書くと平行になっているのがわかります(図2)。

ということは二つの式は決して交わることがない、つまり同時に二つの式を満たす値の組がそもそもないのだから、ないものを連立方程式を解いて見つけようとしてもできないということです。

もう一つ

\begin{align} \left\{ \begin{array}{l} y=2x+1…(5) \\ 3y=6x+3…(6) \end{array} \right. \end{align}

を解いてみます。ぱっと見解けるようにみえて、加減法でも代入法でも0=0という式になって、等式は満たしているけどこれではxもyもわかりません。ここで下の式の両辺を3で割ってみると、y=2x+1になり上の式と一致するのがわかります。グラフで書くと二つの式はぴったり重なっているので、交点は直線上の点すべてです。だからこの連立方程式の解も、この直線の式を満たすxとyの組すべてとなります。

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むつきさっち

物理と数学が苦手な工学博士。 機械翻訳で博士を取ったので一応人工知能研究者。研究過程で蒐集した知識をまとめていきます。紹介するのはたぶんほとんど文系分野。 でも物理と数学も入門を書く予定。いつの日か。

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