一次関数
中学で出てくる四つの関数のうち、二年で出てくるのが一次関数です。一次関数はy=ax+bの形をしていて、比例y=axの式に+bされた形になっています。形が似ているだけあって性質もよく似ていて、例えばy=2x…(1)(比例)とy=2x-3…(2)(一次関数)のグラフを書くと、図1のように平行な二本の直線が引けます。
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変数xの値と二つの関数のyの値の関係をいくつか取り出してみると、表1のようになります。
表1 y=2xとy=2x-3を満たすxとyの値
x
| -3
| -2
| -1
| 0
| 1
| 2
| 3
|
y(y=2x) |
-6
| -4
| -2
| 0
| 2
| 4
| 6
|
y(y=2x-3) |
-9
| -7
| -5
| -3
| -1
| 1
| 3
|
二つの式の違いは-3の部分で、xがどの値の時も(2)式のyの値は(1)式のyの値より3少ないです。これが図1のように(2)式が(1)式と平行かつ下に3だけ下がった位置にある理由です。
以上のことから一次関数において重要なものは、変数xの係数aと、比例のグラフを平行移動させる+bの項の二つであることがわかります。比例のときと同じように、xの係数を「傾き」または「変化の割合」と呼びます。そして+bを切片もしくはy切片と呼びます。傾きはxが1増えるごとにyがいくつ増えるかの割合を示しています。傾きが2ならxが1増えるごとにyが2増える、傾き-3ならxが1増えるごとにyが-3増える(3減る)ことを意味しています。次に切片は、比例の式をどれだけy方向に平行移動させるかの値で、グラフにはx=0のときのyの値として現れてきます。上の例ではb=-3なので、y軸上の-3の点として現れてます。一次関数のグラフは、切片(y軸上にある通過点)を打ち、そこから傾きより求められる近くの通過点(A点やB点)を打ち、その2点を通る直線として書くことができます。
次に、一次関数で表現できる事例をみてみましょう。ひねると1分間に2Lの水が出てくる蛇口があるとします。50Lが入る水槽に最初10Lの水が溜まっているとすると、ホースを蛇口につないで水をいれていくと、x分後の水槽の水の量yはy=2x+10(0≤x≤20)…(3)の式で表現できます。20分後に水槽の水は50Lになるので、満タンになったら水を止めるとして、グラフで書くと図2のような線分になります。
上のように式で表現することができれば、例えば水槽の8割(40L)に水を満たしたいときに、(3)式のyに40を代入してそのときのxの値x=15を求めることで、15分後に満タンになることがあらかじめわかります。タイマーをセットすれば、15分後に水を止めに来ればその間他のことをやっていても大丈夫です。(3)式でy=40のときのxの値を求める操作を下に書いておきます。
\begin{align}
y=2x+10…(3)\\
(y=40を代入) 40=2x+10\\
(右辺の+10を左辺へ移項) 40-10=2x\\
(左辺の計算をして左辺と右辺を入れ替え) 2x=30\\
(両辺を2で割る) x=15
\end{align}
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