代入法(二元一次連立方程式の解き方1)
前回は二元一次連立方程式について説明しました。今回はその二つある解き方のうち、代入法についてです。
「連立方程式」を解くとは、二つ以上の方程式を同時に満たす、変数の値の組を見つけることを言います。次の連立方程式だと、上と下の式を同時に満たすxとyの組は(x,y)=(3,-1)の一つだけです。
\begin{align}
\left\{
\begin{array}{l}
2x+y=5…①\\
x-y=4…②
\end{array}
\right.
\end{align}
この(x,y)=(3,-1)という組を見つけ出す方法の一つが代入法です。
①と②の式のどちらも変数xとyを含んでいます。同じ文字が使ってあることには意味があって、同じ文字の変数は、①と②のどちらかの式で値が決まればもう片方の式での値もその値に決まる、同じ数のことを示しています。例えば①の式のxが1に決まれば、②の式のxも1に決まります。そうすると①の式はxが1に変わって2×1+y=5となり(「xに1を代入する」と言います)、この方程式を解いてこの式を満たすyはy=3です。同じように②の式にx=1を代入して1-y=4となり、解はy=-3となります。二つのyの値が同じ値になればこの連立方程式が解けたことになるのですが、得られたのは(x,y)=(1,3)と(x,y)=(1,-3)の異なる組なので、それぞれ①の式と②の式を満たすけど、同時に①と②を満たす一組の値にはなりませんでした。
①の式を満たすxとyの組、②の式を満たすxとyの組をそれぞれにたくさん求めて、その中から同じ値の組を探すことで、①、②を同時に満たすxとyの組を見つけられるのですが、このやり方で見つけるのはとても大変です。そこで代入という操作に一工夫してみましょう。
先ほどはxに1という具体的な値を代入しましたが、代入するのは具体的な数でなくて、変数や定数を含んでいてもかまいません。①の式の左辺にある2xを右辺に移項するとy=5-2x…①’になります。①と①’は形が変わったように見えて、この式を満たすxとyの値の組は全く変わらないので、どちらも同じ式とみなせます。①’は「yは5から2xを引いた値と同じ」ということを意味しているので、x=1を②の式に代入したのと同じように、①’の式を②に代入することができます。具体的な数の代わりにy=5-2xという式を代入するので違和感があるかもしれませんが、例えばy=3はy=2+1と書くこともできるので、②の「-y」の項にy=3を代入してy=-3になり、y=2+1を代入しても-(2+1)=-3になってどちらも同じ値になる、ということとさほど変わりはありません(変数を含むという違いはありますが)。
②の式に代入するとx-(5-2x)=4となって②の式が二元一次方程式から一元一次方程式に変わりました。
この式は①と②の式の両方を使って作り出しているので、この式を満たすxは①と②の両方の式を満たしていることになります。この式を解くと
\begin{align}
x−(5−2x)=4\\
x−5+2x=4 (分配法則を使用)\\
x+2x=4+5\\
3x=9\\
x=3
\end{align}
となります。
関連ページ:一元一次方程式、分配法則
この値は①と②の両方の条件の式を満たす値なので、どちらかの式にこの値を代入すれば、式を満たすyの値を見つけることができます。ここでは確認のために両方の式に代入して、どちらの式からも同じyの値が出てくることを確認してみましょう。①にx=3を代入すると
\begin{align}
2×3+y=5\\
y=5−6\\
y=−1\\
\end{align}
となります。②にx=3を代入すると
\begin{align}
3−y=4\\
−y=4−3\\
−y=1\\
y=−1
\end{align}
となり、同じyの値y=-1になりました。これで①と②の式の両方を満たすxとyの組(x,y)=(4,-1)を見つけることができました。
代入法の考え方をざっくりまとめると、次のように書けます。
「上と下の変数は同じなのだから、片方の式からy=〇(右辺はxを含む式)の形、もしくはx=〇の形の式を作って、もう片方の式に代入することができる。そうすれば両方の式の条件を満たすxまたはyの一元一次方程式が得られるので、それを解くことで両方の式を満たす変数の値(xかyかどちらか)を得ることができる。後はその変数の値を元の式のどちらかに代入すれば、もう一つの変数の値も見つけることができる。」
代入法は感覚的にわかりやすい方法なのですが、計算は少し面倒くさいことが多いです。なので実際に使うときは、次回紹介する加減法の方が使う機会は多くなると思います。
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