対数関数の方程式と不等式 - 趣味で学問

対数関数の方程式と不等式

対数関数の方程式と不等式の解き方は、指数関数のときとほぼ同じです。指針を箇条書きで書くと下の感じです。

  1. 底aの条件(a>0, a≠1)、真数の条件(x>0)から、その問題における条件を先に調べておく。
  2. 底を揃える。
  3. 式変形して真数部分の比較をする。

まずは比較的簡単な方程式から、log2x – 2 = -log1/2(x-1)の具体例でみてみましょう。この問題を解くと下のようになります。

\begin{align} 真数条件より、x>0かつx-1>0よりx>1\cdots①\\ \log_2 x – 2 = -\log_{\frac{1}{2}} {(x-1)}\cdots②\\ \log_2 x – \log_2 4 = -\frac{\log_2 {(x-1)}}{\log_2 {\frac{1}{2}}}\cdots③\\ \log_2 x – \log_2 4 = -\frac{\log_2 {(x-1)}}{-1}\\ \log_2 x – \log_2 {(x-1)} = \log_2 4\cdots④\\ \log_2 \frac{x}{x-1} = \log_2 4\cdots⑤\\ よって\frac{x}{x-1}=4\cdots⑥\\ x=4x-4を解いてx=\frac{4}{3}、これはx>1を満たす。\cdots⑦ \end{align}

この問題では2と1/2の底が見えるので底2にそろえておきます(②、③)。変数を含む項を左辺、定数項を右辺に移項しておくと解きやすいことが多いです(④)。底をそろえておいたので、真数を比較して、その式を解きます(⑤、⑥、⑦)。最後出てきた解を①の条件に合うか確認して終わりです(⑦)。

次は不等式、log2x – 1 = -log1/2 (x-1)を解いてみます。不等式を解くときはグラフの形状から大小関係を判断する必要があります。問題を解くと下のようになります。

\begin{align} 真数条件より、x>0かつx-1>0よりx>1\\ \log_2 x – 1 \geqq \log_{\frac{1}{2}} {(x-1)}\\ \log_2 x – \log_2 2 \geqq \frac{\log_2 {(x-1)}}{\log_2 {\frac{1}{2}}} \\ \log_2 x – \log_2 2 \geqq \frac{\log_2 {(x-1)}}{-1} \\ \log_2 x + \log_2 {(x-1)} \geqq \log_2 2 \\ \log_2 {x(x-1)} \geqq \log_2 2 \cdots①’\\ 底が2よりこれは単調増加関数であるから(図1参照)、x(x-1) \geqq 2 \cdots②’ \\ x(x-1) -2 \geqq 0 \\ x^2-x-2 \geqq 0 \\ (x+1)(x-2) \geqq 0 \\ よってx<-1、x>2\\ x>1よりx>2\\ \end{align}

真数条件を確認したり式変形の仕方は方程式を解くときと同じです。そのあと①’から②’の不等式を導くのに、グラフの形状を利用しています。底が2のlog関数は図1のようにxの増加とともにyの値も増加します。そのことからあるxの値とyの値の間に、b>aのときlog2b > log2a、逆にlog2b > log2aのときb>aという関係があります(図1)。この関係と①’の式を見比べて、x(x-1)≧2の不等式を導いています。ここまででれば後は二次不等式を解いて真数条件と照らし合わせるだけです。

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むつきさっち

物理と数学が苦手な工学博士。 機械翻訳で博士を取ったので一応人工知能研究者。研究過程で蒐集した知識をまとめていきます。紹介するのはたぶんほとんど文系分野。 でも物理と数学も入門を書く予定。いつの日か。

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