数式の展開と因数分解 - 趣味で学問

数式の展開と因数分解

数式はたいてい目的に応じて変形していきます。よく使う式変形に展開と因数分解があります。式の展開と因数分解は対になっていて、基本、展開の方が楽なので、因数分解はその逆操作として行います。

展開は中学二年ですでに出てきていて、分配法則のページで一度紹介しているa(b+c)=ab+acの式です。もうちょっと複雑な(a+b)(c+d)を考えてみます。(a+b)=AとおいてみるとA(c+d)になるので、分配法則を適用してAc+Ad、Aを(a+b)に戻すと(a+b)c+(a+b)dになってやはり分配法則を適用するとac+bc+ad+bdになります。項数が多くなっても同じ操作を繰り返せば同じような形にできます。acとかbcとの積の項が足しあわされた形をしているので積和形式と呼んだりします。展開の仕方を図1に示します。手間はかかりますが、項数が多くても機械的に計算できます。

今度はその逆、ac+ad+bc+bdを式変形して(a+b)(c+d)の形にすることを考えます。この方向の式変形を因数分解と呼びます。式全体を細かい項の積の形にする、くらいの意味だと思っておいてください。展開ほど単純にはいかないのですが、こちらも決められた手順の組み合わせで行うことができます。まずは「共通項で括る」ことを行います。acとadならaが共通して含まれているのでa(c+d)という形に変形できます。これは展開の逆操作です。ac+ad+bc+bd=a(c+d)+b(c+d)になって、(c+d)が共通しているのでいったんこれをBに変えておいて括るとB(a+b)になって、Bを元に戻すと(c+d)(a+b)になります。

この後、二次方程式を解くことになるのですが、この因数分解を頻繁に利用します。そのため(x+a)(x+b)の形に因数分解するための公式がけっこうあって、中学三年でたくさん練習することになります。次回はこの公式と具体例を示す予定です。

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むつきさっち

物理と数学が苦手な工学博士。 機械翻訳で博士を取ったので一応人工知能研究者。研究過程で蒐集した知識をまとめていきます。紹介するのはたぶんほとんど文系分野。 でも物理と数学も入門を書く予定。いつの日か。

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