比の式 - 趣味で学問

比の式

数学では比率を「:」を使ってa:bのように書きます。これは量の比がa対bになっているという意味です。比率を表しているので例えば2:1は4:2と同じ比率なので、2:1=4:2という等式が成り立っています。

これだけだと当たり前の式のように思えますが、比率がわかっていて片方の値だけわかっている場合とかに、比率の等式を用いてもう片方の値を求めたりできます。わかっていない値をxとおいて、2:1=x:3の関係式が得られたとします。この式の左辺を眺めてみると、2:1より左の値は右の値の2倍であることがわかります。右辺x:3の比の関係も左辺と同じなのだから、左の値xは右の値3の2倍であり、x=3×2=6であることがわかります。

今やったことをその都度考えて計算するのはとても大変なので、もっと機械的に計算してしまいたいところです。比の関係式が得られた場合に、次のように変形できることがわかっているので、これを利用すればよいです。

\begin{align} a:b = c:d ならばad=bc…① \end{align}

昔はたすき掛けなんて言葉を使ったりもしましたが、覚え方はどのようにしてもらってもかまいません。2:1=x:3ならば2×3=1×xより、x=6がすぐにわかります。この公式が使えるようになればとりあえず問題ないのですが、分数の形で表現できるようにしておくと後々役立つこともあるので、そちらについても説明しておきます。

割り算にはたくさんの意味があって、例えば6÷2=3ですが、「6を二つに分けると3ずつになる」、「単位量あたりに換算すると3になる」、「6は2の3倍である」というふうに複数の解釈ができます。比の式では、三番目の「割られた数は割る数の何倍か」つまり「割られた数と割る数の比率はいくらか」という解釈を利用して分数表現に変えることができます。2:1=x:3なら2÷1=x÷3つまり2/1=x/3の形に変形できます。これを「割られた数は割る数の何倍か」という表現に当てはめてみると、x/3=2より割られた数xは割る数3の2倍であるという意味になります。これは最初に式を眺めて見つけ出した関係と全く同じです。また、右側を割られる数で左側を割る数として、1/2=x/3という式を立ててもかまいません。

一般形のa:b=c:dではa/b=c/dとなります。これは普通の分数の等式なので、両辺にbdをかけると

\begin{align} \frac{a}{b} = \frac{c}{d}\\ \frac{a}{b} \times bd = \frac{c}{d}\times bd \\ ad=bc \end{align}

となり①と全く同じ式が出てきます。このように①の式は、割り算の持つ、「割られる数と割る数の比率を表す」という性質から分数表現に変換し、この等式を変形することで得ることができます。

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むつきさっち

物理と数学が苦手な工学博士。 機械翻訳で博士を取ったので一応人工知能研究者。研究過程で蒐集した知識をまとめていきます。紹介するのはたぶんほとんど文系分野。 でも物理と数学も入門を書く予定。いつの日か。

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