平方根の計算
平方根はこれからも非常によく利用する数学概念です。平方根に関する計算規則がいくつかあるので、この規則を使用して素早く正確に計算できるようにしておくと、後々まで役に立ちます。
正の平方根を示す√に関する規則が以下のように定められています。
\begin{align}
(1) \sqrt{a}\times\sqrt{b}=\sqrt{a \times b} (ただしa>0, b>0)\\
(2) \frac{\sqrt{a}}{\sqrt{b}}=\sqrt{\frac{a}{b}} (ただしa>0, b>0)\\
(3) \sqrt{a} \times b = b\sqrt{a} \\
(4) \sqrt{a^2}=a (ただしa>0)\\
\end{align}
(1)と(2)は、もともと√は二乗に関する演算子だから、かけ算と割り算は√の中に含めたりそれぞれの√に分離できる、くらいに思っておいてください。
それに対し足し算と引き算は異なる√ではまとめることができません。√は実数表現しきれないだけで、ある具体的な値を一意にとる数です。√3=1.732…で√2=1.414…という数なので、例えば√3+√2=3.14…というふうに足し算と引き算もできそうに見えるのですが、完全には表現できないうえに具体的な値を調べないと実数表現できないので、足し算や引き算の場合は、まとめずにそのまま√3+√2のように書いて一つの数、と考える決まりになっています。
(3)は単純にかけ算のときはかけ算記号を省略して書くという決まりなのですが、分数では
\begin{align}
2\frac{1}{3}=2+\frac{1}{3}
\end{align}
なのに対して2√3=2×√3であり、似たような書き方でルールが異なっているので注意してください。
具体例を示した方が早いと思うので、いくつか下に計算例を示します。
\begin{align}
\sqrt{2}\times\sqrt{3}=\sqrt{6}\\
\frac{\sqrt{2}}{\sqrt{3}}=\sqrt{\frac{2}{3}}\\
\sqrt{2}+3\sqrt{2}+\sqrt{3}=4\sqrt{2}+\sqrt{3}\\
\end{align}
三番目の計算の3√2は3×√2を意味するので√2が三つと同じです。そうすると√2+3√2は√2一つと√2三つを足し合わせることになるので、√2が四つで4×√2=4√2というふうに書きます。
(4)の具体例に次のものがあげられます。
\begin{align}
\sqrt{4}=\sqrt{2^2}=2
\end{align}
また√8では
\begin{align}
\sqrt{8}=\sqrt{2^3}=\sqrt{2^2\times2}=\sqrt{2^2}\times\sqrt{2}=2\times\sqrt{2}=2\sqrt{2}
\end{align}
というふうに√の中は、原則できるだけ簡単に書くことになっています。また、分母はできるだけ簡単にするという原則も生きていて、例えば√3/√2は、分母分子に分母と同じ√2をかけて
\begin{align}
\frac{\sqrt{3}}{\sqrt{2}}=\frac{\sqrt{3}\times\sqrt{2}}{\sqrt{2}\times\sqrt{2}}=\frac{\sqrt{6}}{2}
\end{align}
というふうに分母に√が残らないように書くことになっています。この操作を有理化と呼びます。
(4)に関する注意点が一つあって、例えば
\begin{align}
\sqrt{(-2)^2}
\end{align}
の場合は、√と二乗のどちらを先に適用するかで値が違ってしまいます。この場合、指数乗が優先され、(-2)の二乗は4なので、結局この値は√4=2になります。このことから正確には
\begin{align}
\sqrt{a^2}(aは正と負両方)=|a|(aが正のときはa, aが負のときは-a)
\end{align}
となるのですが、高校数学の範囲になるので、これに関しては高校数学のページに回すことにします。
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