図形の証明における命題の利用 - 趣味で学問

図形の証明における命題の利用

中二の後半は図形の合同の証明にかなり分量が割かれてます。証明の対象となる図形は、三角形、二等辺三角形、直角三角形、平行四辺形、特殊な平行四辺形です。後半になるにつれ難しくなるのですが、基本は一般的な三角形の場合で、この場合の証明がある程度できるようになれば、後半は増えた条件を覚えるのと練習次第といえます。

図形に関する証明の前に、覚えておくべき事項があります。「AであるならばBである」もしくは「AであるときはBである」の形の文を命題とか仮説とかと呼びます。そしてAの部分を「仮定」、Bの部分を「結論」と呼びます。この命題が正しいとわかっている場合に、これを使って対象の図形が特定の性質を持っていることを証明することができます。その図形がBの性質であることを証明するには、その図形においてAであることを示せばよいです。これだけではどういうことかよくわからないと思うので、具体例で示してみます。

図1(a)のように二つの直線に一つの直線が交わるように引いたとき、aとbが同位角、cとdが錯角の関係にあると言います。直線lとmが平行のとき、直線hが交わることでできる同位角aとbは等しく、また錯角cとdも等しいことがわかっています(図1(b))。逆に同位角が等しいか、錯角が等しいとき、二つの直線が平行であることもわかっています。

これら二つの文を上の命題の形式にすると「直線lとmが平行ならば、同位角aとbは等しく、かつ錯角cとdは等しい」、「同位角が等しい、または錯角が等しいならば、直線lとmは平行である」となります。ここで図2において、「直線lとmが平行である」ことを証明(それが事実であることを示す)してみます。

直線の角度は180°という取り決めから、角aとcを足すと直線のときと同じになるのでa+c=180°です。そうするとa=60°より、c=180°-60°= 120°となります。図2よりd=120°であり、錯角cとdの角度が共に120°で等しいので、「直線lとmは平行である」ことが証明できたことになります。話の流れは、「錯角が等しいならば二つの直線は平行」であるので、今図2で「錯角cとdが等しいことから、直線lとmは平行である」ということです。

数学の証明においては、決められた表現をある程度使う必要があって、独特の言い回しを使えるようになるには、やはりある程度の練習が必要です。そういった表現の具体例や使い方は、次の「三角形の合同の証明」で実際に証明することで示したいと思います。またこのページには、「正しいかどうか明確に判断できる文を命題と呼ぶ」とか「逆は必ずしも成り立たない」とか「AかつBの否定」といった内容も含まれているのですが、それは高校数学で習うことなので、ひとまず中学数学では忘れてもらってかまいません。その他数学では「公理」、「推論規則」などの言葉があって、これらは数学において「正しいとされるもの」を表現するための言葉です。数学の証明の根幹を成す言葉なのですが、こちらも中学数学ではそんな言葉があると知っておけば大丈夫です。

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むつきさっち

物理と数学が苦手な工学博士。 機械翻訳で博士を取ったので一応人工知能研究者。研究過程で蒐集した知識をまとめていきます。紹介するのはたぶんほとんど文系分野。 でも物理と数学も入門を書く予定。いつの日か。

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