階差数列 - 趣味で学問

階差数列

一見、規則性が見出せない数列でも、各項の間の差を取ってみると、その差の方に規則性が見られることがあります。その場合はその差の和を使ってもとの数列の一般項をもとめることができて、その差の数列を階差数列と呼びます。

先に階差数列を使用する場合の、もとの数式の一般項の式を書いておきます。

\begin{align} もとの数列が\{a_n\}、階差数列が\{b_n\}のとき、もとの数列の一般項a_nは\\ a_n = a_1 + \sum_{k=1}^{n-1} b_k (n≧2)\cdots① \end{align}

具体例を使って式の意味を説明することにします。今、数列an = 1, 3, 7, 13, 21, 31, …だとして、この数列の一般項を求めたいとします。anの各項の差を取って新しい数列bnを作ると、bn = 2, 4, 6, 8, …という規則性を読みとることのできる数列ができあがります。初項a1=1にb1=2を足すと第2項a2=3になって、さらにb2=4を足すと第3項a3=7になることが読み取れます(図1)。

このことからもとの数列の第n項anは、a1にbnの各項を次々に足していって、bn-1項まで足すことで示すことができるのがわかります(①式)。bnは初項2、公差2の等差数列で、bn = 2nであることがすぐにわかります。数列bnの第n-1項までの和は等差数列の和の公式またはΣの計算を用いることで求められます。ここではΣを利用して次の計算で求めます。

\begin{align} \sum_{k=1}^{n-1} 2k = 2\cdot\frac{(n-1)\{(n-1)+1\}}{2}(n≧2)\\ =n(n-1)\\ \end{align}

そしてこの値を使うと、もとの数列anの一般項は下の式となります。

\begin{align} a_n = a_1 + \sum_{k=1}^{n-1} b_k (n≧2)\\ = 1 + \sum_{k=1}^{n-1} 2k\\ = 1 + n(n-1)\\ = n^2-n+1 \end{align}

これで一般項anがもとまったわけですが、これはn≧2以上という条件のもとでの式なので、与えられているa1=1とこの式のa1が一致するか確認する必要があります。n=1を代入してa1=12-1+1=1となり一致するので、n≧2の条件がとれて、an=n2-n+1がもとの数列の一般項です。試しにn=6を代入すると、a6 = 62-6+1=31となり、最初に与えられた数列の第6項31と同じことが確認できます。階差数列は、規則性を読み取ることが難しい数列において、その一般項をもとめるための汎用性のある方法の一つです。よく利用されるので、何かしらの試験を受ける人は理解して利用できるようにしておくのがよいでしょう。

<< Σの計算 漸化式 >>

むつきさっち

物理と数学が苦手な工学博士。 機械翻訳で博士を取ったので一応人工知能研究者。研究過程で蒐集した知識をまとめていきます。紹介するのはたぶんほとんど文系分野。 でも物理と数学も入門を書く予定。いつの日か。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA