1.ベクトル
高校の二年、数Bではじめて出てくる概念ですが(2022年度で高2以上)、考え方自体は中学数学の座標系の中でこっそりと使われています。それから中学理科の力の分解(今は中学ですでに力学が始まっている)のあたりでも出てきました。
そんな風に高校数学のベクトルを習うまえにすでにベクトルを使用しているのですが、あらためて数学のベクトルを学ぶためには、概念からゆっくり考えていく必要があります。ベクトルとは一言でいうと「向きと大きさを持つ量」のことです。ベクトルを「有向線分」という場合もあって、図形的にベクトルを表現すると、図1(a)のような始点と終点を持つ矢印で表現されます。またベクトルの記号表現には何種類かあって、高校数学ではAを始点、Bを終点とするベクトルを
\begin{equation} \overrightarrow{AB} \end{equation}のように表現します。ただ、htmlではベクトルの表記が難しくて(上はmathjaxを利用;文中に挿入が難しい)、ひとまず文中ではABベクトルのように書くことにします。

ベクトルは「向き」と「大きさ」を持っていて、矢印の向いている方向がそのベクトルの向き、矢印の長さがベクトルの大きさです。ベクトルの重要な性質として、二次元以上の多次元で考えること、一つのベクトルを二つ以上のベクトルに分解でき、逆に二つ以上のベクトルを一つのベクトルにまとめることができること、これらが挙げられます。一番簡単な平面ベクトル(二次元)で考えると、図1(b)のABベクトルはACベクトルとADベクトルに分解することができます。分解はどのようなベクトルにでも可能ですが、大きさが0のベクトル(ゼロベクトル)と二つのベクトルが平行なときは除きます。分解は図1(b)のように、元のベクトルが平行四辺形の対角線になるように行います。これらの性質と数量的表現である成分表示との間には密接な関係があります。
2.ベクトルの成分表示
ここまで数量的な話を一切してこなかったですが、ベクトルには数値を用いた成分表示があります。平面ベクトルでは、図2のように直交する軸を二つ決めます。

そしてABベクトルをこの軸に沿って分解すると、x軸方向に+3、y軸方向に+4の二つのベクトルに分解できます。
この数値を(3, 4)のように並べて表記したものがベクトルの成分表示です。
3.ベクトルの大きさ
またベクトルの大きさは三平方の定理を使って、
\begin{equation} \sqrt{3^2+4^2}=\sqrt{5^2}\\ =5 \end{equation}のように、グラフ上の大きさで表現することができます。ABベクトルはx軸の向きに+3、y軸の向きに+4でできる長方形の対角線の向きで、大きさ5のベクトルですよ、ということをこのABベクトル=(3, 4)という書き方で表現することができます(大きさは別途計算しないといけないですが)。
ベクトルを数量的に表すことができたので、次にベクトルの計算法則を考えることができます。ベクトルには足し算、引き算、そして内積と外積という二つのかけ算が考えられています。ベクトルの割り算は定義されていないようです。それから外積は高校物理の電磁気学で考え方を使っているのですが、計算は大学レベルの話なので高校数学では覚えなくて大丈夫です。次回、ベクトルの記述方式や演算についてまとめる予定です。
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