1.三角比の拡張
前回、角度を度数からラジアン表示に変更し、逆回転、何回転もできるように拡張しました。数Ⅰの三角比では0°から180°(ラジアンだと0からπ)までの値しかありませんでしたが、三角関数ではラジアンを用いてこれ以上の角度に三角比を拡張します。
2.半径r=1に固定

三角比の定義は三角関数でも変わりませんが、半径1の円と決めてしまいます。円の半径がいくらでも、作られる直角三角形の辺の比は変わらないためです。図1(a)のように角度がπ/3(60°)のとき、半径が1なので、実際の長さは横が1/2、縦が√3/2です。ここで辺の比である三角比をとってみると
\begin{align} \sin \frac{\pi}{3}=\frac{\frac{\sqrt{3}}{2}}{1}=\frac{\sqrt{3}}{2}\\ \cos \frac{\pi}{3}=\frac{\frac{1}{2}}{1}=\frac{1}{2}\\ \tan \frac{\pi}{3}=\frac{\frac{\sqrt{3}}{2}}{\frac{1}{2}}=\sqrt{3} \end{align}となって三角比の値は図1(b)の半径2の直角三角形のときと変わりません。したがって三角関数での三角比の値を見つけるときは、図1(b)のような直角三角形を思い浮かべることでわかります。半径を1にした利益がないように見えるかもしれませんが、半径r=1より角度θのときの三角比sinθ=y/r=y/1=y、cosθ=x/r=x/1=xとかなり簡単に表現できます。
3.θがπ<θ≦2πのときの三角比
今度は角度θがπ<θ≦2π(180°<θ≦360°)のときの三角比を見てみます。三角比を90°から180°に拡張したときと定義の仕方は実のところ変わりありません。rが1に固定されていますが、三角比の値の見つけ方はやはりそのままです。図2に二つ具体例を示してみます。

先に象限という言葉を導入しておきます。x軸とy軸で区切られた4つの領域を、図2に示す通り第一象限(x>0、y>0)、第二象限(x<0、y>0)、第三象限(x<0、y<0)、第四象限(x>0、y<0)のように呼びます。7π/6は半回転してさらにπ/6回転します。そのため第三象限にあるので、x座標とy座標共に負の値をとります。このときの三角比の値は辺の比が1、2、√3の直角三角形をもとにして以下になります。
\begin{align} \sin \frac{7\pi}{6}=\frac{-1}{2}\\ \cos \frac{7\pi}{6}=\frac{-\sqrt{3}}{2}\\ \tan \frac{7\pi}{6}=\frac{-1}{-\sqrt{3}}=\frac{1}{\sqrt{3}} \end{align}
辺の長さが負の値というのは違和感があるかもしれませんが、90°から180°までの三角比のときと同じように、こちらの方が都合がいいので負の値まで拡張したと思っておいてください。同様にしてθ=7π/4のときの三角比は下のようになります。
4.代表的な三角比の表
最後代表的な角度の三角比を表にまとめておきます。
| ラジアン | 0 | π/6 | π/4 | π/3 | π/2 | 2π/3 | 3π/4 | 5π/6 | π |
| sin | 0 | 1/2 | 1/√2 | √3/2 | 1 | √3/2 | 1/√2 | 1/2 | 0 |
| cos | 1 | √3/2 | 1/√2 | 1/2 | 0 | -1/2 | -1/√2 | -√3/2 | -1 |
| tan | 0 | 1/√3 | 1/ | √3 | なし | -√3 | -1 | -1/√3 | 0 |
| ラジアン | 7π/6 | 5π/4 | 4π/3 | 3π/2 | 5π/3 | 7π/4 | 11π/6 | 2π | |
| sin | -1/2 | -1/√2 | -√3/2 | -1 | -√3/2 | -1/√2 | -1/2 | 0 | |
| cos | -√3/2 | -1/√2 | -1/2 | 0 | 1/2 | 1/√2 | √3/2 | 1 | |
| tan | 1/√3 | 1 | √3 | なし | -√3 | -1 | -1/√3 | 0 |
<< 角度表現の変更と拡張 三角関数の公式 >>

コメント