順列 - 趣味で学問

順列

場合の数でもっとも基本となるものが「順列」です。もう一つの重要なものに「組み合わせ」があって、これも順列の考え方で理解できます。

順列の説明の前に、順列の数式表現で使われる「階乗」を示しておきます。例えば4×3×2×1のような計算を4!と記号表現して4の階乗と読みます。4に1減らした3を掛けて、1になるまで同じように1ずつ減らした数を順番にかけていきます。

\begin{align} n!=n\cdot(n-1)\cdot(n-2)~\cdots~3\cdot2\cdot1\\ 0!=1 \end{align}

注意点として、0!=1と定義されています。もうこれはこうしないと都合が悪いから、くらいに思って覚えておいてください。

では順列の説明に移ります。順列は順番に番号をつけて並べる場合の並べ方の数です。先に具体例を示します。A、B、C、D、Eの5人から3人選んで順番に並べるときの場合の数は、一番目に5人の中から一人で5通り、二番目は一人減って残り4人から一人選ぶので4通り、三番目はさらに一人減って3人から一人で3通りなので5×4×3=60通りの並べ方があります。これを全通り図示すると図1となります。

例えば一番上の樹形図は1番目にAを選んだ場合で、二番目がBからEまで4通りあってさらにその4通りごとに3通りあって4×3通り、これが一番目に選んだAからEまでの5通りあるので5をかけて5×4×3通りです。積事象「AかつB」はAの通り数×Bの通り数になる、という考え方がもとになっています。

関連ページ:場合の数

順列n人からr人選んで並べるときの記号表現は下の通りです。

\begin{align} {}_n \mathrm{P}_r = n \cdot (n-1) \cdot (n-2) ~\cdots~ (n-r+2) \cdot (n-r+1)\cdots①\\ = \frac{n!}{(n-r)!} \cdots ② \end{align}

①と②の二通りの表現があります。①の方は最後(n-r+1)までかけるのがわかりづらいところで、単純に5P3のような場合は5×4×3で計算した方が早いです。でも式で表現することも重要で、この式もできたら覚えるか考えて導き出せるようにしておいてください。②の表現の方が覚えやすいので、ついでに覚えておくと組み合わせの式表現のときに少し役にたちます。②の式は、①に(n-r)!を分母分子にかけることで下のように導出できます。

\begin{align} {}_n \mathrm{P}_r = n \cdot (n-1) \cdot (n-2) ~\cdots~ (n-r+2) \cdot (n-r+1)\cdots①\\ = \frac{n \cdot (n-1) \cdot (n-2) ~\cdots~ (n-r+2) \cdot (n-r+1) \{\cdot (n-r) \cdot (n-r-1) ~\cdots~ 2 \cdot 1\}}{\{(n-r) \cdot (n-r-1) ~\cdots~ 2 \cdot 1\}}\\ =\frac{n!}{(n-r)!} \end{align}

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むつきさっち

物理と数学が苦手な工学博士。 機械翻訳で博士を取ったので一応人工知能研究者。研究過程で蒐集した知識をまとめていきます。紹介するのはたぶんほとんど文系分野。 でも物理と数学も入門を書く予定。いつの日か。

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