1.観察不能性
システムはプロセスの連鎖の閉域なので、プロセスそのものを知覚できない以上システムも観察できません。観察できるのは構成素や構造の方で、システムの種類によっては構成素や構造も観察不能な場合もあります。その場合はかろうじて環境の変化がシステムの作動の痕跡として、観察することができます。したがって、システムの実在を確かめることができるのは、構成素や構造や環境に生じる変化を通じてのみであり、システムの消失も、構造等の変化が停止したことから推測するしかありません。これは普段我々が、物体の変位や変形に力なるものをみているのであって、力そのものは見えていない、ということと同じことです。
2.予測不可能性
予測不可能性を考える前に「創発」の説明をしておきます。簡単にまとまめると、創発とは「要素の局所的相互作用によって、その要素からは説明できない大域的な性質が現れてくること」です。この言葉はオートポイエーシスの用語ではなく、非線形科学などでよく用いられる言葉です。創発の事象で身近に見られるのは、湯を沸かすときに現れる熱対流です。水を熱していくと、あるときを境にそれまでにはなかった対流が生じます。それがいつ起きるか、正確に予測することは不可能です。
オートポイエーシス・システムも同様で、たとえ個々の産出プロセスすべての性質がわかっていても、システムとしての作動を予言することはできません。環境との相互浸透も含めると、予測不能性はさらに高まります。産出プロセスの閉域が形成されたときにはじめてシステムが成立するので、それぞれのオートポイエーシス・システムが創発によってあると言えます。
3.参照文献
- 参照文献:山下和也『オートポイエーシス論入門』(ミネルヴァ書房)
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