意識システム - 三つのシステム - 趣味で学問

意識システム

1.意識と表象

「心」に関する言葉はたくさんあって人それぞれ用法が違ったりするのですが、像や音といった形の現れを「表象」、「表象」の連なりもしくはつなげていく働きを「意識」と呼ぶことにします。意識への現れを表象ということもできるし、表象のまとまりを意識と表現することもできるので、本当はこの二つの言葉は明確に分けることはできないのですが、ひとまずこのように定義しておきます。

  • 表象:像や音といった形での意識への現れ。
  • 意識:表象の統一的な連なり。

2.意識システム

このページも山下和也の考え方を紹介します。表象と意識を明確に分けられないので、表象システム、意識システムのどちらの表現も可能ですが、山下は意識システムを用いています。

ここまでの定義から脳・神経系は生命(多細胞生命体)システムの構成素です。脳という器官の主な機能は身体各部の状態を自らの状態として反映することです。オートポイエーシス論の言葉を使うと、脳の状態の変化は、生命システムの自己言及による作動です。これは身体という構造がその構成素である脳・神経系に攪乱を与え、脳・神経系の状態が身体を反映するためです。この攪乱をコードとして作動する新たなシステム、つまり身体(生命システム)の一階言及システムが意識システムです。産出されるものは表象であり、表象を構成素として産出し続ける働きの閉域が意識システム、その構造である表象の総体が意識です。

  • 意識システム:身体による脳・神経系への攪乱をコードとして作動する、生命システムの一階言及システム。産出される構成素は表象でありその構造である表象の総体が意識。

しかしこの定義では、表象を産出する働きが具体的になにかがわかりません。山下自身が、どのような形で脳の攪乱に由来して表象を産出しているのか、その説明はつかないと述べています。ですから表象を産出する働きをオートポイエーシス論の言葉で説明することが果たすべき課題なのですが、この難問は先送りにさせてもらいます。いつかこの一文を消せる日が来るとよいのですが。

関連ページ:システムの自己言及

3.意識システムの特徴

意識システムは生命システムに依存しているのですが、生命システムとは別のオートポイエーシス・システムなので、これはこれで自律的に作動します。自己言及的な作動の結果、自分の身体は自己(自分の意識)として、身体の外部は自己の外部として現れます。この区別は意識の自律的な働きによる区別で、生命システムとその環境の区別に直接対応しているわけではないので注意が必要です。

意識システムが生命システムの自己言及システムであるため、意識システムは生命システムの作動に遅れます。そのため意識システムの現在は生命システムの過去であり、どこまでの過去であるかは、意識システムの自律性のためはっきりとはわかりません。

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むつきさっち

物理と数学が苦手な工学博士。 機械翻訳で博士を取ったので一応人工知能研究者。研究過程で蒐集した知識をまとめていきます。紹介するのはたぶんほとんど文系分野。 でも物理と数学も入門を書く予定。いつの日か。

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