三角比の不等式 - 趣味で学問

三角比の不等式

三角比の方程式だけでなく不等式も考えることができます。

具体例からはじめましょう。sinθ<1/2…①を満たす角θの範囲を求めます。不等式はまず等式の成り立つときを考えるのは、他の不等式と同じです。sinθ=1/2を満たすθは0≦θ<2πの範囲ではπ/6と5π/6です。sinの値はy座標の値なので、θを0から回してy座標がどうなるか考えると①の不等式を解くことができます。sinθの値はθ=0のときが0で、θを左に回すごとに大きくなっていきます(図1)。

θ=6/πで1/2になるので、0≦sinθ<1/2となる0≦θ<π/6が①式を満たす範囲の一つです。もっと角度θを回していくとθ=π/2で最大値1で、そこを過ぎると小さくなっていってθ=5π/6でsinθ=1/2になります。さらに回すとsinθはもっと小さくなっていってθ=πでsinθ=0になります。このことから5π/6<θ≦πの範囲ではsinθ<1/2となり、これも①を満たしています。sinは第三象限と第四象限では負だったので、これ以上の角度でも引き続き①を満たします。よって<5π/6<θ<2πの範囲で①を満たし、これももう一つの解です。以上よりsinθ<1/2を満たすθの範囲は0≦θ<π/6と5π/6<θ<2π(0≦θ<2π)です。cosとtanも同様に考えることができます。

三角関数のグラフの形状をすでに知っているので、今度はy=sinθのグラフを使って考えてみましょう。sinθのグラフは図2のようになります。

sinθが1/2になるのはθ=π/6、5π/6でした。グラフ上にこの点をうって、yの値がこの点の値より小さいときが探している範囲です。グラフの形状を見てその部分を判断すると、図2では赤い線の部分です。
求めるのはこのときのθの範囲なので、0≦θ<π/6と5π/6<θ<2π(0≦θ<2π)がこの不等式の解だとわかります。どちらの方法で求めるかはお好みでかまいません。

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むつきさっち

物理と数学が苦手な工学博士。 機械翻訳で博士を取ったので一応人工知能研究者。研究過程で蒐集した知識をまとめていきます。紹介するのはたぶんほとんど文系分野。 でも物理と数学も入門を書く予定。いつの日か。

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