1.心理学のマイナー分野
心理学は非常に広範な学術分野で、一般に思われているものとは異なる様相を呈する分野を多数含んでいます。ここでは一般には知られていないであろう、心理学のマイナー分野の入門ページを書いていこうと思います。「なんでわざわざマイナー分野を」と思われるかもしれませんが、一般によく知られている専門分野なら、私が書くまでもなく入門サイトがすでに作られているでしょうし、心理学ではマイナーでも他の分野では重要視されている分野もあるためです。
マイナー分野はマイナー分野たる理由があるのですが、その理由は必ずしもその分野が取るに足らない内容しか含まないから、というわけではありません。むしろ独創的で示唆に富むからこそ、専門分野の研究者からは無視されるということも起こり得ます。これから、優れていながら(優れているからこそ?)忘れ去られようとしている心理学のマイナー分野について、できるだけ容易に、しかしその思索の手触りが失われてしまわないように、入門ページをまとめてみたいと思います。
2.紹介する分野
先に紹介する予定の分野を書き出してみます。
- アフォーダンス
- ゲシュタルト・クライス
- ゲシュタルト心理学・動物行動学
- 児童発達心理学
「心理学」入門と言っておいてなんですが、どちらかというと「ゲシュタルト・クライス」は精神医学・神経生理学で、動物行動学は一応は生物学に入ります。ただ、もとは生物学用語であった「刷り込み」などが当然のように心理学でも使われているし、心理学の基盤を成し得るであろう神経生理学と動物行動学を心理学に含めてもおかしなことではない思われます。それと上記のうち「児童発達心理学」は普通に心理学分野に見えるでしょうが、私の紹介しようとしているのは哲学者メルロ=ポンティの思想であったりするので、やはり一般の心理学研究者には顧みられることのない分野です。ちなみにメルロ=ポンティは心理学講座の教授をしていたので、彼の思索を心理学に含めても問題はないでしょう。
ざっとこれらの分野の紹介をしておきます。
| 分野 | 説明 |
|---|---|
| アフォーダンス | アメリカの心理学者ギブソンの提唱した概念。彼を中心に展開された理論は生態心理学とも呼ばれる。動物は環境の提供する意味を元に、その都度の行動が可能となる、と考えられている。日本においては心理学者の佐々木正人が有名。 |
| ゲシュタルト・クライス | ドイツの神経生理学者・臨床医師ヴァイツゼッカーの導入した概念。円(クライス)のゲシュタルトではなく、ゲシュタルトの円環形成の意。環境との境界を形成し続ける働きそのものに、主体の概念を見ている。 |
| ゲシュタルト心理学・動物行動学 | ゲシュタルト心理学者では、『類人猿の知恵試験』を著述したケーラーが有名。動物行動学ではノーベル生理学章を受章したコンラート・ローレンツが有名。詳細な動物行動の観察から、知覚が成立するということについての深い洞察を行った。 |
| 児童発達心理学(現象学) | フランスの哲学者メルロ=ポンティによる、詳細な心理学記述を元に、主に児童の言語獲得を対象として、生理学や哲学など多分野を敷衍して展開された議論。 |
上記4つの分野のうち、まず「アフォーダンス」と「ゲシュタルト・クライス」からページを上げていこうと思います。月に1、2ページくらいの予定なので、気を長くお待ちいただければと思います。
木村敏によるヴァイツゼッカー解釈の概略(ゲシュタルト・クライス) >>

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