1.方向ベクトル・法線ベクトルと直線のベクトル方程式
直線と同じ向きのベクトルを方向ベクトル、直角に交わるベクトルを法線ベクトルと呼びます。ベクトルの大きさはどのようなものでもかまいません。直線のベクトル方程式は、方向ベクトルか法線ベクトルがわかれば求めることができます。一つ注意点があって、平面上の点は位置ベクトルですが、点と点を結ぶベクトル、方向ベクトルと法線ベクトルは普通のベクトルです。位置ベクトルは平行移動できませんが、後者のベクトルは平行移動可能です。気にならなかったらそれでよいですし、気になったらゆっくり考えてみてください。
2.法線ベクトルから直線の式を求める
この二つのベクトルのうち、考えやすいのは法線ベクトルがわかっている場合です。まず直線上の動点をP(x, y)、定点をA(x1, y2)、法線ベクトルの一つをnベクトル=(a, b)とおき、始点を原点(0, 0)におきます(図1)。

このときAPベクトルとnベクトルは直交しているので、APベクトル・nベクトル=0です。左辺を式変形していって
\begin{align} \overrightarrow{AP} \cdot \overrightarrow{n}=(\overrightarrow{OP}-\overrightarrow{OA}) \cdot (a, b)\\ =\left\{(x, y)-(x_1, y_1)\right\} \cdot (a, b)\\ =(x-x_1, y-y_1) \cdot (a, b)\\ =a(x-x_1)+b(y-y_1)=0…①\\ \end{align}これが法線ベクトルnで定点Aを通る直線のベクトル方程式です。①の左辺を展開してまとめると
\begin{align} a(x-x_1)+b(y-y_1)=0\\ ax-ax_1+by-by_1=0\\ ax+by+c=0~~(c=-ax_1-by_1)\\ \end{align}となり、xy平面上の直線の一般形と同じになります。
3.方向ベクトルから直線の式を求める
もう片方の方向ベクトルがわかっている場合は、ちょっと導出が難しいです。直線の方向ベクトルの一つをlベクトル(a, b)とします。さらにこの直線は点A(x1, y1)を通り、直線上の動点がP(x, y)だとします(図2)。

図2からわかるように、APベクトル(x-x1, y-y1)は方向ベクトルと同じ向きを向いています。このことは比を使って、x-x1:y-y1=a:bと表現することができます。この比の式はb(x-x1)=a(y-y1)と変形できるので、右辺を左辺に移項すると
\begin{align} b(x-x_1)-a(y-y_1)=0…②\\ \end{align}となり、これが方向ベクトル=(a, b)で定点A(x1, y1)を通る直線の式となります。②を式変形してまとめると
\begin{align} b(x-x_1)-a(y-y_1)=0\\ bx-bx_1-ay+ay_1=0\\ ay=bx-bx_1+ay_1\\ y=\frac{b}{a}x+c~~(c=\frac{-bx_1+ay_1}{a})\\ \end{align}となり傾きb/aで切片cの直線の式の形になっています。
4.計算例
2節と3節の式の導出は、ベクトルの演算の練習になるので、自分でやっておくとよいです。しかしベクトル方程式を求めるだけなら、結論の式①、②を使うだけでよいです。具体例として、「点A(-2, 1)を通り、法線ベクトルn=(3, 2)を持つ直線」と「点B(2, 3)を通り、方向ベクトルl=(2, -1)を持つ直線」を求めてみます。①、②の式を使って、下のように簡単に求めることができます。
\begin{align} 点A(-2,1)を通り、法線ベクトルn=(3,2)を持つ直線は\\ 3\{x-(-2)\}+2(y-1)=0\\ 3x+6+2y-2=0\\ 3x+2y+4=0\\ \\ 点B(2,3)を通り、方向ベクトルl=(2,-1)を持つ直線は\\ -1(x-2)-2(y-3)=0\\ -x+2-2y+6=0\\ x+2y+8=0 \end{align}<< 直線のベクトル方程式 空間ベクトル >>

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