三角方程式の角度の拡張 - 趣味で学問

三角方程式の角度の拡張

ある値の三角比となる角度を求めることを、三角方程式を解くというのでした(数Ⅰ三角比)。たとえばsinθ=1/2を満たす角度θを見つけるような操作です。角度をラジアン表現したことの他に、角度をπより大きな場合に拡張し何回転もできること、また逆回転もできることが加わりました。新しく加わったことのうち、周回と逆回転はひとまず置いておいて、角度は0≦θ<2πの範囲に限定して考えます。結局、ラジアン表現に変わって角度が倍の2πまで拡張されただけで、三角比のときの三角方程式とほとんどやることは同じです。

具体例をいくつか見てみましょう。sinθ=√3/2を解くと答えはθ=π/3、2π/3です(図1の第一、第二象限の直角三角形)。

60°がπ/3に、120°が2π/3に変わっていることを除いて、数Iの三角比のときとまったく同じです。ではcosθ=1/2のときはどうでしょうか。cosθ=1/2となるのは、三角比のときと同じθ=π/3のときと、もう一つθ=5π/3のときです。2πまで角度を拡張したため、第三象限と第四象限も考慮にいれないといけません。考えないといけない範囲が倍に増えたことになりますが、なれればさしたる労力はかかりません。ただし角度を表(「三角比の拡張」下の表)の形で覚えていると、ラジアン表現での値を覚えないといけない上に覚える量が倍になって、覚えることが苦手な人にはかなりの苦行になってしまうと思います。0≦θ<2πの範囲で直角三角形を作ってみれば探せるので、覚えるのが苦手な人は、直角三角形を思い描いて解く練習をしてみてください。sinは第一、第二象限が正で第三、第四象限が負、cosは第一、第四象限が正で第二、第三象限が負、ということをもとにすると求めやすいです。tanはsinとcosの符号が同じなら正、異なるなら負になるので、第一、第三象限が正、第二、第四象限が負です。

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むつきさっち

物理と数学が苦手な工学博士。 機械翻訳で博士を取ったので一応人工知能研究者。研究過程で蒐集した知識をまとめていきます。紹介するのはたぶんほとんど文系分野。 でも物理と数学も入門を書く予定。いつの日か。

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