等比数列

等差数列と並ぶ基本となる数列が等比数列です。これも具体例の方がわかりやすいので下に一例示します。

\begin{align} a_{n}=1, 2, 4, 8, 16, \cdots\\ \end{align}

初項が1で第2項がそれに2をかけて2、第3項が第2項の2に2をかけて4、第4項はさらに2をかけて8というふうに、その項に2をかけると次の項になっています。この各項にかけていく値を公比(上の例では2)と呼びます。等比数列はこのかけていく公比が等しいという性質があるので「等比数列」です。

等比数列では各項にかける値が等しいという性質を使って、一般項を表現することができます。上の例では初項1に2をかけて1×2が第二項、第二項の1×2にさらに2をかけて1×22が第3項というふうに、初項にその項数より1つ少ない回数で公比をかけることで各項の値が決定されます(図1)。

したがって第n項の値は初項aに公比rをn-1回かけて、下の公式となります。

\begin{align} a_{n}=ar^{n-1} \end{align}

初項3、公比-2の等比数列bn=3,-6,12,-24,48,…を例にとると、一般項は上の公式を使って下のように計算できます。

\begin{align} b_{n}=ar^{n-1}\\ =3\cdot(-2)^{n-1}\\ \end{align}

第4項の値ならnに4を代入して3・(-2)4-1=3・(-8)=-24となり、たしかに上の例の第4項-24と一致しています。

等差数列のときと同じで、等比数列の一般項もその性質をもとに簡単に導き出せるので、覚えるのが苦手な人は上の手順とセットで覚えるとよいと思います。
<< 等差数列の和 等比数列の和 >>

ホーム » ページ 2

等差数列の和

等差数列の初項から第n項までを足した値は、等差数列の和と呼ばれています。先に式を上げておきます。

\begin{align} 初項をa、末項(第n項目)をl、初項から第n項までの和をS_nとすると\\ S_n=\frac{n(a+l)}{2}\cdots①\\ =\frac{n\{2a+(n-1)d\}}{2}\cdots② \end{align}

①式から②の導入は簡単で、末項lは第n項のことなのでl=a+(n-1)d、これを①式のlに代入すれば②の式が出てきます。

これらの式の意味は、図1のようにして考えることができます。

第n項までの和Snを二つ、逆順にして並べて、二つのSnを足してみます。そうすると各項の差が等しいという等差数列の性質から、縦に足した二つの項の和(図1の各長方形)はどれも等しくなります。一番左のa+lも、その左のa2+an-1も、その右隣りも同じ値で、これが横にn個ならんでいます。ということは上下に逆順に並べたSnの和2Snは、a+lがn個でn(a+l)です。式で書くと2Sn=n(a+l)で、両辺を2で割ると、①の式Sn=n(a+l)/2が出てきます。

初項1、公差3の等差数列anでこの公式を確認してみましょう。前回の等差数列の一般項の公式より、一般項an=3n-2がわかります。

\begin{align} a_n=1,4,7,10,\cdots\\ 一般項a_n=a+(n-1)d\\ =1+(n-1)3 =3n-2\\ \end{align}

第4項までの和なら1+4+7+10=22で、①式を使うと4(1+10)/2=22となり確かに同じ値が出てきます。第n項までの和なら②式を使って下のように計算できます。

\begin{align} S_n=\frac{n\{2\cdot1+(n-1)3\}}{2}\\ =\frac{n(3n-1)}{2} \end{align}

この式にn=4を代入して計算すると4(3・4-1)/2=22となり、こちらも同じ値22が第4項までの和として求められます。
<< 等差数列 等比数列 >>

ホーム » ページ 2

古代ギリシアの民主主義

「民主主義」について何かしら考えるにあたって、古代ギリシアの民主主義を無視するわけにはいかないでしょう。とはいえ古代ギリシアの民主主義が現代の民主主義と同じでないことは、高校世界史をかじっていれば知っていることです。このページではまず古代ギリシアの民主主義の発展の歴史をまとめ、現代の民主主義を考える上での手がかりを探ってみることにします。

1.古代ギリシアの民主主義発展の歴史

古代ギリシアの民主主義にも、当然発展の歴史があります。まずはその経緯を簡単に見ておきましょう。

ギリシアのポリスは都市国家であることから、官僚や常備軍、宗教的支配を担う神官を必要としませんでした。そのためポリスの市民たちがみずから国政を担い、戦争で武器を取り、政策の決定を下すことになります。ポリス市民の中核を担ったのは、都市の周辺領域の田園で奴隷農業を営む農民です。ポリスにも貴族はいたのですが、彼らは同じ経済基盤に立っており、両者はまったく別の存在ではありませんでした。

当初は都市に集住した貴族たちが政治・軍事・司法の主導権をにぎっていました。ただし、民会や裁判に一般の市民たちが集まって、民会の決定や判決に少なからず影響を与えたと考えられています。その後、貴族たちから市民へと主導権が移り変わっていくのですが、そこには戦争での市民の貢献が密接に関わっています。まず重装歩兵の装備を自弁でそろえられる市民が戦争で貢献し(マラトンの戦いなど)、サラミスの海戦では、自弁で装備を整えられない一般兵も軍艦を漕ぐことで貢献することで、市民の資格はさらに拡大していきます。

そのように貴族たちから市民へと主導権が移り変わっていくのですが、そこで発展していく政治制度が民主主義です。この政治制度が成立するにあたり、重要な契機となった改革が二つあります。まずソロンの改革を挙げることができて、ソロンが行ったのは債務の取り消しと、債務奴隷からの解放です。これは中小農民の保護を目的としたもので、平民層の政治的発言を強化する改革と合わせて、結果として平民層からも国政の中枢に参加する道が開かれることになりました。しかし彼の改革の後も貴族と平民の対立は残り続け、両者の対立が深まる中で実権を握ったのが僭主と呼ばれるペイシストラトスです。ペイシストラトスは武力によるクーデターでアテナイの統治権を獲得しました。ペイシストラトスは貴族の出身でしたが、彼をその地位につけたのは平民の支持でした。彼の治世は非合法な独裁政治ではあるのですが、彼の政治は支持基盤である中小農民の保護を積極的に目指すものでした。彼の政治自体は善政と呼べるものでしたが、その息子ヒッピアスの圧政を経験することで、独裁者の治世が長期的に見ればけっして望ましいものではない、という市民の政治判断が醸成されることになりました。

続くのがクレイステネスの改革で、僭主ヒッピアスを追放し、市民を血縁や地縁によるしがらみから解放し、再編された市民団を都市の政治と直接結びつけるものでした。クレイステネスは特別な権力を持った人物ではなく、彼の改革は一市民の資格で民会に提案し、それが採択された結果だと考えられています。

2.古代ギリシアの民主主義の特徴

次に古代ギリシアの民主主義の特徴をまとめてみます。箇条書きすると下のようになります。

  1. 民会による決定:最終的な決定の権限を持つのが民会。これはごく一般の市民が参加するもので、市民は主に都市の周辺で農業を営んでいる人たち(女性、居留外国人、奴隷は除く)。
  2. 参加と責任のシステム:民会に出席して発言することそれ自体が、市民として誇るべきことであり、その務めであると考えられていた。評議員は任期が終了しても、任期中の行いについて、厳しい審査を受け、政治権力者が不当な権力を行使しないように、権力者に説明などの責任を問う仕組みが成立していた。
  3. 平民層の政治参加:ソロンの改革とクレイステネスの改革による、平民層の発言強化と血縁や地縁によるしがらみからの解放。

他にも重要な特徴はありますが、現代の民主主義を考察するという目的には、このあたりの特徴が重要でしょう。

3.現代の民主主義へと継承されるもの

古代ギリシアの民主主義の歴史と特徴から、現代の民主主義を考えるための重要なヒントが得られます。民主主義の言葉からもわかる通り、市民の直接かつ積極的な政治への参加が前提です。それを可能にしたのは、多数の市民の経済的な自立です。さらに政治腐敗を防ぐための仕組みが整備されています。

一方で、奴隷農業によって市民の政治への参加が可能になったとか、女性や奴隷が政治の場から排除されていたからこそ直接的な政治が可能になったといった、現代では成立しない条件もそこにはあります。また古代ギリシアでは衆愚政治や政治腐敗を防ぐ仕組みが発達しますが、この問題は現代の民主主義で深刻な問題となっています。現代の民主主義を考えるためには、現代の社会背景に合わせた理論構成が必要でしょう。

参照文献:宇野重規『民主主義とは何か』(講談社現代新書)

<< 主権者とはなんだろう? 近代の民主主義 >>

ホーム » ページ 2

等差数列

高校数学の数列で、基本となる数列の一つが等差数列です。それぞれの項の差が等しいので「等差数列」です。具体例の方がわかりやすいので、一つ示すと下のような数列です。

\begin{align} a_{n}=1, 3, 5, 7, 9, \cdots\\ \end{align}

初項が1で第2項は1に2を足して3、第3項は3に2を足して5というふうに、その項に2をたすと次の項になっています。この各項の差(上の例では2)を公差と呼びます。

等差数列には各項の差が等しいという規則性があるので、この規則性を使って一般的な第n項(一般項と呼びます)を求めることができます。上に挙げた数列anは公差が2なので、第2項なら初項1に2を1回たして1+2×1=3、第3項なら2を2回たして1+2×2=5です(図1)。

この規則性から第n項はどうなるかというと、2をn個より一つ少ないn-1回、初項1にたして、an=1+2(n-1)=2n-1です。anでは初項1、公差2なのでこの式になりました。このように初項と公差がわかればどんな等差数列でも記述できて、初項a、公差dとすると、等差数列の一般項は次の公式で表されます。

\begin{align} a_n=a+(n-1)d \end{align}

例えば初項5、公差-3の等差数列bn=5,2,-1,-4,-7…の一般項は、この公式を使って下のように計算することができます。

\begin{align} b_n=5+(n-1)(-3)\\ =5-3n+3\\ =-3n+8 \end{align}

図1に示したように、等差数列の一般項の公式は、等差数列の性質を考えて自然に導き出せることができます。覚えるのが苦手な人はその都度この性質から公式をその場で導き出してみるとよいでしょう。

<< 数列とは 等差数列の和 >>

ホーム » ページ 2

数列とは

読んで字のごとく、数を順番に並べていって、列を作ったものが「数列」です。規則性がないものでも扱えるはずですが、普通は何かしらの規則性を持った数の並びをしています。高校数学の数列で中心になるのは、等差数列と等比数列、数列の和、σ計算、漸化式あたりです。このサイトでもひとまずこの順番でページを作っておいて、他の内容は後から付け加えていくことにします。

まずこのページで「数列」での規則をまとめておきます。例えば自然数を数列で表すとして、下のような感じで書きます。

\begin{align} a_{n}=1, 2, 3, 4, \cdots, n-1, n, n+1, \cdots\\ \end{align}

それぞれの数を項と呼び、一番最初の数を初項、二番目なら第2項、n番目なら第n項です。上の数列なら初項はa1=1、第2項はa2=2、第n項はan=nのように書きます。第n項のanは一般項とも呼びます。
具体的な数の並びの中に規則性を見つけて、一般性を持たせた文字を使って記述することが一つの目標です。そうすれば、何項目かわかればその数を簡単にみつけることができたりします。例えば正の奇数は下のような数列で、bn=2n-1のように一般項を書くことができます。

\begin{align} b_{n}=1, 3, 5, 7, \cdots, 2n-3, 2n-1, 2n+1, \cdots\\ \end{align}

nは項数(何番目の項か)を示しているので、第2項b2はbn=2n-1のnに2を代入して、2×2-1=3のように計算できます。こんなふうに項数を表す文字を使って式として一般項を表現しておけば、その都度項数を代入するだけで簡単に特定の項の値を求めることができます。

等差数列 >>

ホーム » ページ 2

Older posts
Newer posts