システムのコード - 概念 - 趣味で学問

システムのコード

1.オートポイエーシス・システムのコード

  • 定義:オートポイエーシスのネットワークに属する産出プロセスの連鎖関係を規定する規則、すなわち構成素のタイプと産出の順序を決める規則

産出プロセスは物理法則などによってどのようなものか決まっていますが、構成素のタイプとその産出の順序を指定するコードの方は、産出プロセスの閉域が成立した時点で決まります。生成プロセスの閉域が成立したとき、それが成立可能となった環境が周りにあるということなので、結果として似たような構成素の産出やプロセスの連鎖が再生産されます。そこに生じている規則性(のようなもの)をコードと呼んでいると思ってください。オートポイエーシスのコードは一度システムが作動したことによって決まりますが、そのシステムが維持されている限りで、規則としてシステムの作動を規定しています。

コードと類似する概念は「相互浸透」および「攪乱」です。環境からの浸透による攪乱はシステムに起こった変化のことで、構成素のタイプ(類型)ではなく、そのタイプの中のその構成素から、やはりそのタイプの中の類似の構成素に変化した場合を指します。その点においては、自然科学分野における「ゆらぎ」と類似しています。細胞システムでいえば、構成素である特定の高分子化合物が、前回とは別の高分子化合物に変化した場合が浸透、構成素が高分子化合物であることを決めるのがコードです。

2.構造的ドリフト(*工事中)

  • 定義:システムがその作動を通じて自分のコードを書き換えて変化すること

オートポイエーシス・システムにおける、自らの作動を通じた変化の度合いを示すための言葉として、システムの変動の少ない方から順に、「構造変動」、「メタモルフォーゼ」、「構造的ドリフト」があります。人間の細胞を例にとると、細胞の成長が構造変動、細胞分化がメタモルフォーゼ、細胞のがん化が構造的ドリフトにあたります。このうちシステムのコードを書き換えていると言えるのは、最後の構造的ドリフトのみです。ただしこの場合でも構成素のタイプは高分子化合物であり、産出プロセスの順序を自ら書き換えて構造が大きく変動していると考えられます。構成素のタイプそのものを書き換えるような構造的ドリフトが存在しうるかは、実のところよくわかりません。

<< 環境との相互作用 オートポイエーシスの四つの性質 >>

ホーム » オートポイエーシス » 概念 » システムのコード

むつきさっち

物理と数学が苦手な工学博士。 機械翻訳で博士を取ったので一応人工知能研究者。研究過程で蒐集した知識をまとめていきます。紹介するのはたぶんほとんど文系分野。 でも物理と数学も入門を書く予定。いつの日か。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA