三角関数の公式2 - 趣味で学問

三角関数の公式2

数Iの三角比で角度π-θやπ/2-θの三角比を角度θの三角比に変換する公式がありました。角度をπ以上に拡張することで、π+θやπ/2+θの場合でも同様の公式を考えることができます。

まずは三角比で出てきた公式を、度数表現からラジアン表現に変えて下に示します。

\begin{align} \sin (\pi – \theta) =\frac{y}{r}=\sin \theta\\ \cos (\pi – \theta) = \frac{-x}{r}=-\frac{x}{r}=-\cos \theta\\ \tan (\pi – \theta) =\frac{y}{-x}=-\frac{y}{x}=-\tan \theta\\ \sin(\frac{\pi}{2} – \theta)=cos\theta\\ \cos(\frac{\pi}{2} – \theta)=sin\theta\\ \tan(\frac{\pi}{2} – \theta)=\frac{1}{\tan \theta} \end{align}

関連ページ:180°-θの三角比90°-θの三角比

次に新しく出てくる公式のうちπ+θに関する公式を示します。

\begin{align} \sin (\pi + \theta) = – \sin \theta\\ \cos (\pi + \theta) = – \cos \theta\\ \tan (\pi + \theta) = \tan \theta \end{align}

三角比のページで示したように、この公式も図形的に考えれば覚えなくてすみます。

図1のように第一象限の角θにπを足すと第三象限の角になります。このときにできる直角三角形はθのときと同じで、違うのはxとyの値が共に負になっていることです。ということはsin(π+θ)はsinθにマイナスをつけて-sinθ、cos(π+θ)はcosθにマイナスをつけて-cosθになるのが、図を見ることでわかります。tanはxもyも負で打ち消して符号は変わらないので、π+θのときもθのときも同じ値になります。もしくはtanは直線の傾きにあたるので、θのときとπ+θのときも同じ直線なのでtanは変わらない、と考えてもよいです。今は第一象限の角θで考えましたが、どの象限の角であって同様のことが成り立っています。

次にπ/2+θの公式を下に示します。

\begin{align} \sin (\frac{\pi}{2} + \theta) = \cos \theta\\ \cos (\frac{\pi}{2} + \theta) = – \sin \theta\\ \tan (\frac{\pi}{2} + \theta) = -\frac{1}{tan \theta} \end{align}

考え方はπ/2-θのときと同じで、これも図を描いてみればわかります。ここではθは第一象限の角として、図2のように描けます。

π/2-θの公式と比べて異なるのはcosとtanの値が負になっていることです。これはπ/2+θが第二象限の角となってxの値が負になったためです。ここではcosの公式について考えてみます。cos(π/2+θ)の値は図2の②の直角三角形の部分から求めます。同じ形の三角形が①の直角三角形で、①の直角三角形を回転して平行移動すると②と重なります。回転と平行移動のため、①と②の直角三角形ではx座標の大きさとy座標の大きさが逆転していて、これによりcos(π/2+θ)の値がsinθの値となっています(90°-θの三角比も参照)。ただしsinθのy座標の値は正(①のy)ですが、cos(π/2+θ)のx座標は負(②の-y)です。したがって-をsinθにかけて、正と負が逆転しているのを補正する必要があります。図3にθ=π/3のときの具体例を示します。

計算すると下のようになって、公式が成り立っているのがわかります。

\begin{align} \sin \frac{\pi}{3} = \frac{\sqrt{3}}{2}\\ \cos (\frac{\pi}{2} + \frac{\pi}{3}) = \cos \frac{5\pi}{6} =\frac{-\sqrt{3}}{2}=-sin \frac{\pi}{3} \end{align}

これらの公式も第一象限の角に限らずどの角でも成り立っています。

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むつきさっち

物理と数学が苦手な工学博士。 機械翻訳で博士を取ったので一応人工知能研究者。研究過程で蒐集した知識をまとめていきます。紹介するのはたぶんほとんど文系分野。 でも物理と数学も入門を書く予定。いつの日か。

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