代数と幾何 - 趣味で学問

代数と幾何

昔高校数学に代数・幾何という分野(?)があって、気づいたら名前そのものが消えてました。数学分野にこれとは別に代数幾何なるものがあるみたいで、紛らわしかったのかもしれません。高校数学にあった代数・幾何は代数と幾何のことで、代数が変数を使った式、幾何が図形のことだと思ってもらってかまわないです。名前の通り代数と幾何を一緒にした分野のことで、数式と図形を関連付けて考えましょうという内容です。学校の課程からこの言葉はなくなってしまったんですが、中学数学では関数としてこの考え方が初登場します。今回は中学数学の難関の一つ、関数についてです。中学では比例、反比例、一次関数、二次関数の順に登場します。ここでは関数全般に当てはまる考え方について説明しようと思います。

一番最初に登場する関数は比例の関数で、教科書とか問題集には式と表とグラフがセットで出てきているのではないでしょうか。まずこの3つをよく見比べてみてください。もし「わかった!」と思ったらもう大丈夫です。たとえ何がわかったのかよくわからなくても大丈夫です。新しい関数が出てくるたびに、同じように3つを見比べてみれば、とりあえず高校数学までの関数は理解できます。もちろん理解できなくても大丈夫で、とりあえずやり方だけ覚えておいて後で考えるのでもかまわないです。大学数学なんて大半の人がそんな感じです。

今回は、「そんなこと言われても」という人のために、関数の考え方と図形との関係を説明してみようと思います。比例の関数y=2xを例にとります。「=」で左辺と右辺が結びつけてあるので、これは等式です。この式は、yという数と2xという数は等しいですよ、ということを意味しています。等式の中でこれが関数と言われる理由は、xがある値に決まるとyもそれに対応して値が決まるためです。実際には、等式の中にこういう関係を見い出しましょう、と言った方が適切かもしれません。

この関数ではxの値が決まるごとにyの値が決まるので、いくつか具体的に計算して表の形に書いてみましょう。本当はxは小数や分数でもよいのだけど、書ききれないので整数だけで計算してみます。x=0のとき上の式のxが0という値になっているので、そのときのyの値はy=2×0=0となります。この操作を「変数xに0を代入する」と呼びます。x=1のときはy=2xにx=1を代入して、y=2×1=2です。x=2ならy=4、x=-1ならy=-2、こんな感じで計算してまとめたものが表1です。

表1 y=2xを満たすxとyの値
x -3 -2 -1 0 1 2 3
y -6 -4 -2 0 2 4 6

表を見ていると規則性が見えてきます。xが1づつ増えるごとにyが2づつ増えていってます。x=1でy=2、x=2でy=4なので、xが1から2まで1増えたときyが2から4まで2増えてます。またx=3でy=6なので、xが2から3まで同様に1増えたとき、yが4から6までやはり2だけ増えてます。こんな風にどこを取り出してもxが増えた値の2倍の量、yが増えるという関係がなり立っています。この「yの増加量はxの増加量の2倍である」という関係はどこからきているかというと、y=2xの中のxにかかっている「2」がこの関係を決めています。「変数x」にかかっている数を「係数」と呼び、上の式では「xの係数は2である」のように表現します。xの係数が2の代わりに3だったら、3倍で増えていきます。-2だったら、今度はxが1増えるごとにyが2減る、つまり2倍で減っていきます。

今度はxとyの関係をグラフを使って表現してみましょう。横軸にx、縦軸にyをとって、この二つの軸が直交する座標系を考えてみます。表1の値をこの座標系に書き込むと図1のグラフとなります。

図1から直線上に点が並んでいるのがわかります。表1は整数の値だけを調べましたが、分数や小数でも値をとっていくと、すべての点が直線上にあることがわかります(図2)。

このようにy=2xの式を満たすxとyの組を書き込むことで、xy直交座標系の直線を表現することができます。逆にこの座標系における直線はy=axの形で書けると言うことができます。aは定数と呼ばれるもので、定数と変数どちらもその都度値を決定して代入できる数なのですが、ここではxとyの関係をみたいので、こちらを変数としてそれ以外の文字でおいた数は定数としている、くらいに思っておいてください。本当はいろいろ気をつけないといけないことがあるのですが、今はおいておきます。

y=axの形で直線を表現できること、逆に直線をy=axの形で書けると言いましたが、直線でなく、曲線であっても式の形で書き表せることができます。もう少し正確に言うと、その式を満たすxとyの値の組を書き込むことで描かれる線で、曲線を表現できます。中学数学なら、反比例が双曲線、二次関数が放物線の形になります。ちなみにもし軸が曲がっていたらy=axの式で表わされる図形は曲線になるでしょう。こんな風に式と座標系をセットにすることで特定の図形と式を関係付けることができます。このことを体系的に行ったのがデカルトで、今でも三次元直交座標系をデカルト座標と呼ぶことがあります。

関数や代数・幾何は、すでに理科のグラフなどでそれと知らずに利用していると思います。数式と描かれる図形の間で対応を取ることができると、数式の上での問題を図形の問題として解いたり、逆に図形の問題を数式に変換して解いたりすることができます。数学というのは、名前からは連想しづらいのですが、形式を変換するために利用される学問という側面を持ちます。この性質はこれから先、高校数学や大学数学でも利用されているので、このことを頭の片隅にでも置いておくと、後々の助けになってくれると思います。

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むつきさっち

物理と数学が苦手な工学博士。 機械翻訳で博士を取ったので一応人工知能研究者。研究過程で蒐集した知識をまとめていきます。紹介するのはたぶんほとんど文系分野。 でも物理と数学も入門を書く予定。いつの日か。

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