二次不等式 - 趣味で学問

二次不等式

二次方程式に比べて二次不等式を解くのは難しいです。方程式に比べて不等式は限定が少ないため、一般に不等式を解く方が難しくなってます。そんな一般に難しい不等式ですが、二次不等式においては二次関数のグラフを利用することでだいぶ簡単に解くことができます。

二次不等式を解く手順は言葉にするとすごく短いです。二次方程式として解いて、その解をもとにグラフを見て不等式を満たすxの範囲を見つける、これだけです。具体例の方が説明しやすいので、具体例x2-2x-3>0…①を解いてみることにします。まずx2-2x-3=0を解きます。因数分解すると(x+1)(x-3)=0になるので、x=-1, 3です。二次関数のグラフは図1のようになるので、yの値が0より大きくなるのはx<-1または3<xのときです。そしてこのxの範囲、x<-1, 3<xが二次不等式x2-2x-3>0の解です。

もうちょっと言葉で説明しようと思います。関数y=x2-2x-3…①’はxが決まるとyの値が決まるような関係式です。たとえばx=0のときはこの値を①’に代入してy=-3です。x=-1ならy=0、x=-2ならy=5、x=1なら-4です(図1)。

くどいですが二次不等式x2-2x-3>0を解くとは、左辺のx2-2x-3の値(式の形をしていますがxが決まればある値に決まります)が0より大きくなるxを探すことでした。なのでx2-2x-3の値はたとえば

  • x=-2のときy=5>0よりx=-2は①の不等式を満たす。
  • x=-1のときy=0よりx=-1は①の不等式を満たさない。
  • x=0のときy=-3<0よりx=0は①の不等式を満たさない。
  • x=1のときy=-4<0よりx=1は①の不等式を満たさない。

という関係から上で調べたxの値の中ではx=-2だけが①の不等式の解です。もちろんこんなふうに全部調べる必要はまったくなくて、y=0となる瞬間のxの値だけ調べれば解を見つけられます。そのxの値は二次方程式x2-2x-3=0を解いてx=-1, 3と求まっています。そしてx2-2x-3の値が0より大きいのはグラフの形からx<-1の範囲と3<xの範囲だとわかります。

今度はx2-2x-3<0を考えてみます。これはyの値が0より小さいので、図1より-1<x<3が解だとわかります。等号を含む不等式の場合は等号を含む不等号を使うだけで、x2-2x-3≧0ならx≦-1, 3≦x、x2-2x-3≦0なら-1≦x≦3が解になります。

二次関数とx軸が接する場合や交点がないちょっと特殊な場合もありますが、解き方は同じです。接する場合について、x2-4x+4>0…②の具体例で考えてみます。②の方程式を考えると、x2-4x+4=(x-2)2=0よりx=2でx軸と接しており、図2のようになります。

このグラフを見てyの値はx=2のときを除いて常に0より大きいので、②の解は「x=2を除くすべての実数」です。x2-4x+4≧0なら0でもよいので、この不等式の解は「すべての実数」です。x2-4x+4<0のときは、yの値が0になる瞬間はあっても0より小さくなることはないので「解なし」が解になります。x2-4x+4≦0なら、ちょうどy=0となる「x=2」のみが解になります。

最後に交点がない場合について、x2-4x+5>0の例で考えます。図3のように常にy=x2-4x+5はx軸より上にある、つまり0より大きいので、どのxにおいてもy>0より「すべての実数」が解になります。x2-4x+5≧0のときも同様に「すべての実数」が解です。逆にx2-4x+5<0またはx2-4x+5≦0のときは、x2-4x+5がどのxでも0以下になることはないので、「解なし」が答えです。

以上のように二次不等式は二次関数のグラフを見て解くことができます。これを全て場合分けして覚えるのは大変なので、覚えるのが得意な人以外は、上のようにグラフで判断してみてください。

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むつきさっち

物理と数学が苦手な工学博士。 機械翻訳で博士を取ったので一応人工知能研究者。研究過程で蒐集した知識をまとめていきます。紹介するのはたぶんほとんど文系分野。 でも物理と数学も入門を書く予定。いつの日か。

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