一元一次方程式 - 趣味で学問

一元一次方程式

一元一次方程式という名前がすごく難しそうに見えますが、やることは単純です。方程式は変数を含む等式のことで、一元と一次の意味は後回しにします。

等式の意味は、左の数と右の数は等しいですよ、ということです。

\begin{align} 2 + 3 = 5…(1) \end{align}

なら、二つの数2と3を足したら5になる、現実の事例に照らし合わせてみると、リンゴ2つとみかん3つを一つのかごにいれると、合わせて5つかごの中にある、そういうことを意味しています。あるとき、最初リンゴが2つ入っていて、後で3つ入れてリンゴが5つになったとします。最初何個いれたか忘れてても、3つ入れたのを覚えていれば、かごをのぞきこんで5つあるのを確認すれば最初2個入ってたことがわかります。しかし倍にしておいて8つ足して12個になってたとか、数が多くなったり複雑な操作を行ったりしているとよくわからなくなります。これをあまり考えずに自動的に調べたい数を見つける方法として、方程式を解くことを挙げることができます。

とりあえず忘れてしまった最初の数をxとおいておきます。これは未定の数で、1とか2とか具体的な数に後からその都度入れられることができますが、やはり数であることに変わりはありません。この未定の数xを用いて、後で3つ入れてリンゴが5つになった場合を等式として表現してみます。そうすると

\begin{align} x + 3 = 5…(2) \end{align}

です。最初入っていた2個を忘れてしまったのでxとおいてますが、それを除いて2 + 3 = 5…(1)と同じ形をしています。

(2)の式の意味は、いくつかわからない数xに3を足すと5になりますよ、ということです。もうすでにxは2と知っていますが、これを機械的に計算することができます。「=」(等号)の左と右から同じ数3を引いてみます。そうするとx + 3 – 3 = 5 – 3となって、3-3は0、5-3は2なので、この式はx = 2となり、求めたい数2を求めることができました。このように等号の左(左辺と呼びます)と右(こちらは右辺です)に同じ数を足したり引いたり、かけたり割ったりしてx = ~ という形にすれば、それが求めたかった数です。

さきほどは左辺と右辺、両方から3を引きました。(2)の式はxが入っているのでわかりづらいですが、左辺はxに3を足したx + 3という数です。(2)の両辺から3を引くというのは、左と右に5つ入っていて、同時に3つ取り除いたら右も左も2つになったというのと、同じことです。左辺と右辺は同じ数なのだから、両方に同じ数を足したり引いたり、かけたりわったりしても、やっぱり左辺と右辺は同じ数です。だから例えば

\begin{align} 2x(2かけるx、つまりxを2倍した数) + 8 = 12 \end{align}

という式で、最初に入っていた数xを知りたいのであれば、まず両辺から8を引き(中学では-8を足すと考えます)2x = 4とした後、両辺を2で割ると、2x(xかける2)割る2で左辺はx、 右辺は4割る2で2となり、求めたかった数x=2を見つけることができます。

ここで新しく「移項」という言葉を導入しておきます。(2)で両辺に-3を足すとx + 3 + (-3) = 5 + (-3)となり、先に左辺の3 + (-3)を計算するとx = 5 + (-3)となります(少し上と形が違いますが、「3を引く」を「-3という数を足す」ことに置き換えていて、どちらも同じことを意味しています)。やっていることは両辺に-3という数をたすことなのですが、(2)と見比べると左辺の3を右辺に移し替えているように見えるので、この操作を「移項」と呼びます。ただし実際には両辺から同じ数を引いているので、結果として移項した数は、元の数3と逆の符号の数-3になっています。もう一度流れを示すと次のようになります。

\begin{align} x + 3 = 5\\ x + 3 + (-3) = 5 + (-3)\\ x = 5 + (-3)\\ x = 2\\ \end{align}

次に2x + 8 = 12の方程式を解いてみます。この式は上で書いた「倍にしておいて8つ足して12個になってた」の等式表現です。

\begin{align} 2x + 8 = 12\\ 2x = 12 + (-8) (上の式で8を左辺から右辺へ移項)\\ 2x = 4\\ x = 2 (上の式で両辺を2で割った)\\ \end{align}

したがって、最初入っていたリンゴと同じ数を入れ(2倍する)、さらに8個足して12個になったとき、 方程式の答えより、最初入っていたリンゴの数は2個である、ということがわかります。

後回しにしていた一元一次の意味を説明します。まず指数と呼ばれる記述形式があって、これは同じ数をかけたときの簡略表現です。例えば4×4は4を2回かけていて42と表現します。4×4×4なら43です。y3ならyを3回かけてy×y×yのことを意味しています。右上の小さく書いてある部分が指数部分で、何回かけたかを示す数です。方程式の次数というのは変数が何乗になっているかのことです。xならxが一つなのでx1と同じで次数1、x2なら次数は2、x3なら次数は3です。例えばx3+2x2+4x+1=0なら、最大の指数に合わせて三次方程式になります。

次に、一元が変数の種類が一つのことを意味しています。二元なら変数の種類が二つで、例えばx+y=3のような式のことです。一元一次方程式というのは、x+3=5とか2y+8=12のような形の方程式です。方程式は必ず解けるというわけではないですが、一元一次方程式なら必ず解くことができます。

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むつきさっち

物理と数学が苦手な工学博士。 機械翻訳で博士を取ったので一応人工知能研究者。研究過程で蒐集した知識をまとめていきます。紹介するのはたぶんほとんど文系分野。 でも物理と数学も入門を書く予定。いつの日か。

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