複素数の掛け算と割り算 - 趣味で学問

複素数の掛け算と割り算

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目次

1.複素数どうしの掛け算と割り算

複素数どうしの掛け算と割り算は、極形式で考えると理解と計算が容易になります。結論を先にいうと、Z=r(cosθ+isinθ)を掛けるとr倍で正方向(左回り)にθ回転(図1(a))、Zで割ると1/r倍で逆方向にθ回転します(図1(b))。中学数学で-1を掛けると数直線上を逆方向に移動すると学びました。これを180度回転すると解釈すれば、i2=-1でiを2回かけて180度回転なのだからiをかけて90度回転する、と考えると中学数学との接続も可能だったりします。こういう思考実験も楽しいものなので、興味があれば暇なときにやってみてください。

関連ページ:負の数の割り算

2.r倍とθ回転すればよいことの証明

掛け算ならr倍してθ回転すればよい、というのはすごく都合のよい安直な設定に思えますが、実はけっこう簡単な証明でこのことを示せます。せっかくなので下に証明を示しておきます。証明には三角関数の加法定理を使います。

\begin{align} Z_1=r_1(\cos\theta_1+i\sin\theta_1),Z_2=r_2(\cos\theta_2+i\sin\theta_2)とおく\\ Z_1 \cdot Z_2=r_1(\cos\theta_1+i\sin\theta_1) \cdot r_2(\cos\theta_2+i\sin\theta_2)\\ =r_1 \cdot r_2(\cos\theta_1\cos\theta_2+i\cos\theta_1\sin\theta_2+i\sin\theta_1\cos\theta_2+i^2\sin\theta_1\sin\theta_2)\\ =r_1r_2(\cos\theta_1\cos\theta_2-\sin\theta_1\sin\theta_2+i\sin\theta_1\cos\theta_2+i\cos\theta_1\sin\theta_2)\\ =r_1r_2(\cos(\theta_1+\theta_2)+i\sin(\theta_1+\theta_2))\\ \\ \frac{Z_1}{Z_2}=\frac{r_1(\cos\theta_1+i\sin\theta_1)}{r_2(\cos\theta_2+i\sin\theta_2)}\\ =\frac{r_1(\cos\theta_1+i\sin\theta_1)(\cos\theta_2-i\sin\theta_2)}{r_2(\cos\theta_2+i\sin\theta_2)(\cos\theta_2-i\sin\theta_2)}\\ =\frac{r_1(\cos\theta_1\cos\theta_2-i\cos\theta_1\sin\theta_2+i\sin\theta_1\cos\theta_2-i^2\sin\theta_1\sin\theta_2)}{r_2(\cos^2\theta_2-i^2\sin^2\theta_2)}\\ =\frac{r_1(\cos\theta_1\cos\theta_2+\sin\theta_1\sin\theta_2+i\sin\theta_1\cos\theta_2-i\cos\theta_1\sin\theta_2)}{r_2(\sin^2\theta_2+\cos^2\theta_2)}\\ =\frac{r_1}{r_2}(\cos(\theta_1-\theta_2)+i\sin(\theta_1-\theta_2))\\ \end{align}

割り算の証明の方が難しくて、分母分子に(cosθ2-isinθ2)を掛けるのは二乗-二乗の公式とi2=-1を利用して、分母にsin2θ+cos2θ=1の公式を使うためです。同時に分子において、加法定理を使ってcos(θ12)とsin(θ12)の形を作るためでもあります。この辺の操作は、目的の形になるために何が必要か、式をよく眺めて見つける必要があります。こういう式変形はよく必要となるので、証明で練習しておくのも手です。

関連ページ:三角関数の公式1加法定理

3.具体的な計算例

具体例を一つ計算してみましょう。A=1+iとB=√3+iの掛け算A・Bを計算すると下のようになります(図2)。

\begin{align} A=\sqrt{2}(\frac{1}{\sqrt{2}}+\frac{1}{\sqrt{2}}i)\\ =\sqrt{2}(\cos\frac{\pi}{4}+i\sin\frac{\pi}{4})\\ B=2(\frac{\sqrt{3}}{2}+\frac{1}{2}i)\\ =2(\cos\frac{\pi}{6}+i\sin\frac{\pi}{6})\\ A \cdot B=\sqrt{2}\cdot2(\cos(\frac{\pi}{4}+\frac{\pi}{6})+i\sin(\frac{\pi}{4}+\frac{\pi}{6}))\\ =2\sqrt{2}(\cos\frac{5\pi}{12}+i\sin\frac{5\pi}{12}) \end{align}

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むつきさっち

物理と数学が苦手な工学博士。 機械翻訳で博士を取ったので一応人工知能研究者。研究過程で蒐集した知識をまとめていきます。紹介するのはたぶんほとんど文系分野。 でも物理と大学数学も入門を書く予定。いつの日か。

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